エンワールド・ジャパンは、外資系企業や日系グローバル企業を中心に人材採用支援を行う人材紹介会社である。同社は日系企業から外資系企業に転職する「外資越境転職」支援の一環として、外資系企業・日系企業の従業員を対象に「外資系企業に対するイメージギャップ」についてアンケートを実施した。
以下、名古屋商科大学経営大学院(MBA)植田統教授の解説、ならびに同アンケート調査の結果を同社HPからの転載で紹介する。
「外資企業の実態」——イメージとのギャップ
調査結果は、私自身も納得できる内容が多く含まれていました。
日系企業従業員が外資系企業に対して「プロセスよりも成果が評価される成果主義」という印象を持つ一方、外資系企業従業員が「努力や協調性」を重視する環境だと回答している点が非常に印象的でした。
もともと、ジョブ型の雇用制度を採用している外資系企業は、予め職務の内容やその職務に対する条件が定められたジョブ単位で採用され、採用をした直属の上司によって人事評価がなされます。 しかし、多くの外資系企業の日本法人では、人事制度が現地に合わせて調整されていることが一般的です。 そのため、従業員の評価を行うのも外国人上司をもつ幹部クラス以外においては、日本法人のマネージャーが担当するケースが多く、外資系企業と日系企業の評価基準が完全に異なるとは一概には言えない状況です。
私の経験からも、外資系企業が規模を拡大するにつれて、日本市場、商習慣に適応する必要性が高まり、日系企業に近しい環境やカルチャーを持つと感じています。ただし、この現象にはメリットとデメリットがあることも事実です。
メリットは、外資系企業への転職に不安を抱えている方々にとって、環境への適応がスムーズになることです。その環境のもと、外資特有の社歴の長さに依らないキャリアアップのチャンス、自己成長の機会に恵まれるのであれば非常に魅力的です。
一方、デメリットに関しては、外資系企業流の合理的な仕事の進め方、パフォーマンスを上げるためのアグレッシブな姿勢に触れる機会が減少することです。
本国やグローバル拠点と関わることで結果に結びつくタスクがどれなのかを常に見直すプロセスやそのような考え方を優先するアプローチを積極的に学ぶことで、視野を広げることができます。
このような姿勢を保ち続けることで、外資系企業での経験が皆さんの貴重な財産となり、キャリアの発展に繋がることでしょう。