一部のヘビが盲目であるというのは、部分的に真実だ。その好例が、地中に暮らす小さなヘビ、ブラーミニメクラヘビだ。このヘビは、ほぼ視力を失っている。うろこは目の上も覆っており、その「視界」は、暗い部分と、やや明るい部分の連続体のようなものだ(なお、ブラーミニメクラヘビは全長16cmほどで、ヘビというよりはミミズに似ているが、世界最小という称号は、カリブ海のバルバドスに生息する、全長約10cmのバルバドスホソメクラヘビのものだ)。
しかし、ほとんどのヘビは機能する目を持っている。そして、ヘビのなかでも3つの科はさらに進化している。これらのヘビは、目が見えるだけでなく、狩りに関しては、視覚より正確な感覚にしばしば頼る。これらのヘビは熱を感知するのだ。
熱を感知できる3つの科とは、ボア科(Boidae)、ニシキヘビ科(Pythonidae)、クサリヘビ科のマムシ亜科(Crotalinae)だ。
赤外線受容器官はピット器官と呼ばれ、ヘビの顔面に小孔(開口部)として存在する。ボア科のヘビでは、口唇部に沿って小さな開口部が複数あり、口唇窩(こうしんか)と呼ばれる。開口部の内側は、赤外線に敏感な神経終末が密集した膜になっている。ネズミのような温血動物が通りかかると、たとえ暗闇にいても、動物が発する熱をこの開口部で感知する。通常の意味での視覚ではないものの、狩りをするボア科のヘビにとっては、獲物を把握するのに十分な機能だ。
ニシキヘビ科も、よく似たシステムを採用している。ただし、ボア科よりも、口唇窩を持つ種が多い。ほとんどの種は、ボア科と同様にこの熱感知器官が口唇部に並んでおり、熱による状況把握を可能にしている。林床でとぐろを巻いているときも、木の枝にぶら下がっているときも、まるで熱センサーのように周囲の熱を感知しつつ、くつろぎながら獲物を待つことができる。
最後のマムシ亜科には、ガラガラヘビやアメリカマムシ、ブッシュマスターなどが含まれる。これらのヘビは、赤外線感知能力をさらに進化させている。目と鼻孔のあいだに、ボア科やニシキヘビ科に見られるものよりはるかに高度な頬窩(きょうか)が一対ある。これらの器官は、熱を感知するだけでなく、周囲の熱分布を、熱画像のように描き出してくれる。
研究によれば、マムシ亜科のヘビは、熱をサーマルカメラのように認識しているわけではないようだが、熱のラフスケッチのようなものが得られると言って差し支えないだろう。冷たい背景の前を温かい何かが横切ると、ヘビは必要な情報をすべて得られるのだ。
以下では、熱を感知できる3つの科から、注目すべき3種のヘビを紹介する。
1. ボールニシキヘビ(Python regius)

リストのトップは意外にも、ペットとして人気のヘビだ。ボールニシキヘビ(ボールパイソン)は、世界中で最も広く飼育されているヘビの一つだ。小型で性格が穏やかで、緊張すると「ボール」のように丸くなることで有名だ。