もしも夏の夜に流星群が降らなかったら、どんなにか味気ないことだろう。満天の星空の下に寝そべって流れ星がひと筋きらめく瞬間を待つ、あのひとときが好きな人にとって、北半球の夏は見逃せない季節だ。ただ、夏の風物詩として名高いペルセウス座流星群は今年、残念ながら極大夜に明るい月が輝いているため、1時間あたり75~100個の出現が見込まれる流星のほとんどが見えないと予想される。
だからといって諦めるのはまだ早い。夏には他にも流星群が流れ、そのうち2つの極大期がペルセウス座流星群の活動時期と重なっている。しかも、その夜は観測条件も良い。2025年夏に流星群を楽しむための究極のガイドとして、今年のペルセウス座流星群、みずがめ座δ(デルタ)南流星群、やぎ座α(アルファ)流星群について知っておきたいことをまとめた。
月明かりの中でペルセウス座流星を見る

ペルセウス座流星群は北半球でも特に多くの流星が毎年安定して出現する「三大流星群」のひとつだが、今年はがっかりしないために特別な注意が必要だ。活動期間は7月17日~8月23日ごろで、最も多くの流星が流れる極大夜は8月12~13日となる。
しかし、今年は8月9日に「スタージョンムーン(チョウザメ月)」の満月が昇る。ちょうど流星群が見ごろとなる夜に、満月を過ぎたばかりの月がほぼ一晩じゅう空を煌々と照らしているため、火球クラスの明るい流星以外は月光にかき消されてしまう。これが2025年のペルセウス座流星群観測の問題だ。
そこでアドバイスをしよう。極大夜に無理して観測を試みるのはやめて、代わりにできるだけ近い日程で月明かりに邪魔されることのない2夜を選ぶのだ。筆者のおすすめは、7月29~30日と8月15~16日である。どちらの夜もペルセウス座流星群の出現は控えめだが、1時間に約5~15個の流れ星を見つけられるだろう。月が視界にないことが観測の条件となる。
たとえ見える流星の数が少なくても、ペルセウス座流星群は十分な感動を与えてくれる。明るく、速く、長い奇跡を描く流星が特徴で、放射点は北東の空にあるペルセウス座付近にある。流星は放射点から四方八方に飛び出すように出現するが、観察する際に視線を特定の方向に固定する必要はない。流星群は夜空のどこにでも現れる。

さらに、7月29~30日には流れ星を見つけやすい別の理由がある。