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2025.06.01 09:00

女性が男性より稼ぐカップル、結婚の安定度に影響との研究報告

KieferPix / Shutterstock

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男性と女性のカップルが結婚した場合、どちらが主に生計を担うべきかという問題に関して、伝統的な規範はいまだに根強く存在している。新たな研究結果でも、女性が男性のパートナーよりも稼ぎが多い場合に、2人の関係にひびが入るケースが多いことが明らかになった。

しかも、当事者ではない人でさえ、そうした状況は関係への安定度や満足度で劣り、離婚によって終止符が打たれる可能性が高いと見ていることが分かった。

何より驚きなのは、2025年の今になっても、「夫は妻よりも多く稼ぐべきだ」という考え方が、人々の物の見方にこれほど大きな影響力を及ぼしているという点だ。

米国での男女間の賃金格差は、少しずつではあるが縮まってきている。2023年の時点では、男性が得る賃金1ドル(約144円)に対して、女性が得る額は82.7セント(約119円)だった。

このように格差が縮まっていることから、女性が男性のパートナーを収入で上回る確率はこれからも高まっていくだろう。実際、複数の調査で、家計の主な稼ぎ手となる女性が増えていることが判明している。米国では現在、パートナーがいる女性のうち、推計で31~37%が主要な稼ぎ手になっているとみられている。同様に、カナダでは26%、英国では31%の女性が、パートナーよりも多く稼いでいる。

職場における女性の地位は改善してきているものの、男女の関係に関して私たちが持つステレオタイプは、そうした状況に追いついていないことが、新たな研究で示唆されている。私たちは今でも、男性が一家の大黒柱で、女性が家族の世話をする役割を担っていると考えがちだ。さらには、女性が男性より稼ぎが多い関係を不自然だと捉える者もいる。

女性の方が収入が多い場合、ふたりの関係の満足度が下がる

学術誌『Sex Roles』に掲載された新たな研究では、メディア分析の手法を用いて、こうした関係を精査した。加えてこの研究では、500組以上のカップルを調査し、2400人以上の参加者を対象に実験を行なった。なお、これらの研究はすべて、異性愛のカップルを対象としている。

異性と結婚している男女500人以上を対象とした調査で、研究チームは、家計収入で女性の方が多くを占める場合、ふたりの関係への満足度が下がることを明らかにした。この傾向は、特にこうした状況にあるカップルの夫に関して顕著だった。女性のパートナーよりも稼ぎが少ない男性は、男性らしさに自信が持てず、能力が十分でないと感じる傾向が強く、こうした感情が、妻との関係の質の低下に結びついていた。

男性パートナーよりも稼ぎが多い女性も、伝統的な男女の役割分担に反していることにまつわる居心地の悪さを感じる傾向が強かったが、男性ほどではなかった。

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翻訳=長谷睦/ガリレオ

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