ヤニック・シナーは、7月13日に行われたウィンブルドン男子シングルス決勝でライバルのカルロス・アルカラスを破り、優勝賞金300万ポンド(約5億9543万円)を手にした。前日に同額の賞金を獲得した女子王者イガ・シフィオンテクとともに華々しい栄冠を手にしたが、税務の専門家によれば、これらの賞金は課税の影響で実質的にほぼ半減するという。
英国では、ウィンブルドンの賞金だけでなく、同大会で使用した用具に関連するスポンサー収入にも課税される。加えて、大会運営側は20%の源泉徴収を行った上で、選手が経費を控除した後の金額に対し最大で45%の所得税を課す仕組みになっている。これはモナコを拠点に活動する国際税務コンサルタント、アンドレアス・ボッセによる見解だ。
ウィンブルドンの優勝賞金は、男女それぞれに授与される300万ポンドだが、OFS Wealthの税務ディレクター、ショーン・パッカードによれば、実質課税率は36.52%程度と見込まれ、手取り額は最低でも250万ドル(約3億6770万円)程度にまで減額されるという。
一方、ポーランド出身の女子王者シフィオンテクは、母国の追加課税として約4%が課される見通しであり、その影響で約16万2000ドル(約2383万円)の賞金がさらに差し引かれることになる。
対照的に、イタリア出身の男子王者シナーは現在モナコに居住しており、モナコには所得税が存在しないため、英国以外で追加課税を受けることはないとされている。
準優勝者に与えられる200万ドル(約2億9420万円)の賞金も、同じ36.52%の課税率が適用された場合、70万ドル(約1億290万円)以上が税として差し引かれ、手取り額はおよそ120万ドル(約1億7650万円)にまで減少する。
米国籍で女子準優勝を果たしたアマンダ・アニシモワには、さらに自営業者向けの税金やメディケア追加税など、米国特有の税負担がのしかかる可能性があるとパッカードは指摘している。