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2025.05.20 16:00

今こそ「手書き」で創造性を解き放て モレスキンCEOが語る伝説のノートの現在地

2025 さくら限定版コレクション(モレスキン)

2025 さくら限定版コレクション(モレスキン)

最近劇場公開されたビル・マーレイ主演の映画『The Friend』に、モレスキンのノートブックがさりげなく登場したことは、この熱心なファンが多い製品の私の「目撃リスト」に新たに加わった。モレスキンのノートブックは、私のお気に入りの愛用品の1つでもあるのだが、映画や小説の中に加えて、会議室やカフェ、屋外の広場など、本当にあらゆる場所で目にする。

私は長年、モレスキンの手帳やノートを、思考や観察、想像を書き留めるために使って(そして保存して)きた。そのため自宅の書庫は、それらが棚のスペースを取り合う戦場と化している。中には旅行中の日記として使われたものも混ざっており、思い出に耽りたい気分になってページを開くと、解放されたチケットの半券が床に舞い落ちる。

「私たちの使命は、人の才能を紙の上に解き放つことです」と、モレスキン・グローバルのクリストフ・アルシャンボーCEOは、同社が本拠を置くイタリア・ミラノにある彼のオフィスと、私が住む米国テキサス州ヒューストンをつなぐ最近のインタビューの中で説明した。「創造性を促進させる」というモレスキンの公約は、このノートブックのオリジナルがフランス・パリで最初に誕生した時から変わっていないと彼は言う。オリジナルとはつまり、黒い厚手の油布製の表紙を持つことから、元来は「モグラの皮」を意味する「moleskine」と呼ばれていたノートブックのことだ。

「moleskine」から「Moleskine」へ

19世紀のパリで販売されていた、模造皮革や油布で装丁された小さなノートブックは、ヴィンセント・ヴァン・ゴッホ、パブロ・ピカソ、アーネスト・ヘミングウェイなど多くの画家や作家に愛用された。やがて、「moleskine」という一般名称が、このようなパリで生まれたカルネ(フランス語で手帳という意味)やノートブックを総称する言葉として広く使われるようになる。

オリジナルを製造していた会社は1986年に廃業したが、1994年に起業家のマリア・セブレゴンディがこうしたノートブックを復刻して販売することを思いつき、会社を設立。1996年に「Moleskine」という名称をブランド名として商標登録する。最初の製品が発売されたのは、それから間もなくのことだった。

東大生たちが駆使するモレスキン(MOLESKINE)
東大生たちが駆使するモレスキン(モレスキン)

その人気は発売されるとほぼ瞬時に拡がり、使いやすいサイズと優れた紙質を備えたスタイルが、スケッチやメモ、アイディアを書き留めたいと思うあらゆる種類の創造的な人々の関心を集めている。現在のモレスキンの中核ユーザー層は、30〜40代の専門的な職に就く裕福な都市生活者で、「創造性と芸術に対する強い欲求」を持つ人々だとアルシャンボーは主張する。大学生もモレスキン愛好家の上位を占めており、モレスキンも大学書店で手軽に入手できるようにしたり、学生向けの製品を発売するなどして、彼らの支持に応えている。

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翻訳=日下部博一

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