モビリティ

2025.07.14 16:00

ロボタクシーで「打倒テスラ」掲げるアマゾン、傘下のZooxがウェイモに宣戦布告

2025年6月2日、カリフォルニア州サンフランシスコの市街地を走るZooxの自動運転ロボットタクシー(Photo by Smith Collection/Gado/Getty Images)

2025年6月2日、カリフォルニア州サンフランシスコの市街地を走るZooxの自動運転ロボットタクシー(Photo by Smith Collection/Gado/Getty Images)

ロボタクシー(自動運転タクシー)の時代がいよいよ到来し、競争は激しさを増している。米ウェイモが米国内の複数都市でサービスを拡大する一方、テスラはオースティンでパイロットプログラムを実施中で、イーロン・マスクは同社がより安価なシステムでアルファベット傘下のライバルを追い抜くことが可能だと主張している。そして今、アマゾン傘下のZoox(ズークス)は専用設計のバン型モデルで今年後半にこの分野に参入し、他社との差別化を図る構えだ。

「我々は乗客にユニークな体験を提供する。きっと気に入ってもらえるはずだ」と、Zooxの共同創業者でCTOのジェシー・レヴィンソンは先日、カリフォルニア州ヘイワードにある同社の新たなロボタクシー工場の見学ツアーで語った。「乗り心地や対面式の座席配置、広々とした車内空間、これらすべての要素が我々の差別化要因になると考えている」

11年間にわたる準備期間とアマゾンからの数十億ドル規模の投資を経て、Zooxは今年後半にラスベガスで商用ロボタクシーサービスを開始する予定だ。同社はその後、サンフランシスコやオースティン、マイアミ、ロサンゼルス、アトランタでの展開を計画している。Zooxは設立当初から、ウェイモのように既存の車両にセンサーやコンピュータを搭載するアプローチをとらず、専用設計の電動モデルを使ったロボタクシーサービスの構築を目指してきた。

この車両にはハンドルやペダル、外部ミラーがなく、列車のようなスライドドアを備え、前後が同一の双方向仕様となっている。Zooxのロボタクシーの最高速度は約120キロだが、都市部や郊外での運行の最高速度は当面、約72キロ以下に制限される。この車両は1回の充電で1日最大16時間稼働し、5年間で最大16万キロの走行距離を想定して設計されている。

Zooxは、この長寿命の車両と1日あたり数十回の乗車回数を組み合わせることで、従来型の電気自動車(EV)よりも高価な車両であっても収益性のある事業モデルを実現できると、CEOのアイシャ・エヴァンスは語る。「我々は車を売っているのではなく、乗車サービスを提供している」と彼女は述べ、生産コストについては明言を避けた。「私たちは競争力のある価格で、最高のエクスペリエンスを提供していく」

同社は、昨年設立したヘイワード工場への投資額を明かしていないが、この約2万平方メートルの施設に大きな期待を寄せている(Zooxはこれまでカリフォルニア州フリーモントの小規模な工場で試作モデルを製造していた)。

Zooxは、現時点では1日1台のみのロボタクシーを、人とロボットの共同作業で製造しているが、来年には、1シフトあたり時速3台のペースに製造ペースを高める計画だ。これにより年間5000台の生産が可能になり、2シフト体制にすれば年間1万台に対応できるという。

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編集=上田裕資

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