エコシステム

2025.07.14 15:15

日米同盟を新たな高みへ──元駐日米国大使が創業したGeodesic Capitalが切り拓く日米共創の未来

急速な技術革新と地政学的変化が進む現代において、日米同盟の重要性はかつてないほど高まっている。その最前線で、ベンチャーキャピタル、イノベーション、人と人とのつながりを通じて両国の架け橋となっているのがGeodesic Capitalだ。元駐日米国大使ジョン・ルース氏が共同設立し、昨年から元米日カウンシル代表のスザンヌ・バサラ氏が参画したGeodesic Capitalは、通常のベンチャーキャピタルの域を超え、国境を超えたインパクトを生み出すプラットフォームとしてその存在感を拡大している。これまで、AirbnbやUberなどの大型Exitを数々実現し、DatabricksやScale AIなどAI分野で躍進する急成長企業にも投資を実行し、大きなインパクトを生み出している。

今回、筆者はルース氏とバサラ氏にインタビューを行い、それぞれの官民を横断するキャリアがGeodesic Capitalの構想にどうつながったのか、なぜ日米同盟が次なるグローバルイノベーションの原動力になり得ると考えているのか、そして日本がより良い未来を築くために何を優先すべきかを伺った。

外交の世界からベンチャーキャピタルへ

━━ルースさん、駐日米国大使になる前のキャリアや大使としての経験、そしてそれらがGeodesic Capital設立へとどのようにつながったのかを聞かせていただけますか?

ルース:大使になる前は、シリコンバレーで25年間、弁護士として活動していました。GoogleやAppleといった名だたるテック企業の急成長を支援し、最終的には米国最大のテック専門の法律事務所のCEOも務めました。その後、オバマ大統領(当時)から駐日米国大使という一生に一度の機会をいただきました。この経験は私の人生をさまざまな意味で大きく変えました。日本各地を訪れる中で、私は日米が世界で最もイノベーティブな二国だと確信するようになりました。帰国後、この2つの世界をつなぎたいという思いから、Geodesic Capitalを設立しました。設立から10年が経ち、これまでに達成してきたことを大変誇りに思っています。

━━スザンヌさんも、海軍、国防総省、駐日米国大使館、そして米日カウンシルと、多様な経験をおもちです。Geodesicに加わる決め手は何だったのでしょうか。

バサラ:私にとって最も大切だったのは「人」と「使命」でした。大使館時代、特に3.11の震災対応を通じて、ルース大使とそのチームメンバー達(後にGeodesicを共同創業)と深い信頼関係を築くことができました。彼らの日米関係への真摯な思いを知っていました。また、Geodesicが国家安全保障やディープテックなど、同盟を強化するテクノロジー領域に投資するというユニークなアプローチで差別化していることにも惹かれました。

私自身、キャリア初期は海軍の情報将校として日本に駐在しました。その経験を通して、日米同盟の戦略的重要性を肌で実感しました。その後、国防総省で日本政策に携わり、駐日米国大使館では経済・貿易・文化分野へと視野を広げました。特に若者や人材交流を目的としたTOMODACHIイニシアチブに関わったことは、非常に意義深いものでした。Geodesicへの参画は、これまでの日米関係強化のための活動を新たな形で継続する道だと感じました。

元米日カウンシル代表のスザンヌ・バサラ氏(左)と、元駐日米国大使ジョン・ルース氏(右)。二人は現在、Geodesic Capitalで活動している  Courtesy of the author
元米日カウンシル代表のスザンヌ・バサラ氏(左)と、元駐日米国大使ジョン・ルース氏(右)。二人は現在、Geodesic Capitalで活動している Courtesy of the author
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文 = 吉川絵美

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