高校時代に交換留学でスウェーデンで学び、大学卒業後はスウェーデン大使館商務部勤務。その後、理想の子育てを求めて家族でスウェーデンに移住した久山葉子氏は、『スマホ脳』『多動脳』(ともにアンデシュ・ハンセン著、新潮社刊)をはじめ多くのベストセラー書籍の翻訳者として知られるほか、著書『スウェーデンの保育園に待機児童はいない』(東京創元社刊)』 のあるエッセイストでもある。
そんな氏の同い年の夫はイタリアで育った日本人で、久山家はときおり、スウェーデン スンツヴァルの自宅から、夫の実家のあるローマに帰省をかねた旅行をする。
今年4月の帰省ではスイーツが並ぶバール「ボンピアーニ(Bompiani)」を訪れた。そこで見つけた「イタリアの人々の日本愛」とは——。
イースター・エッグがなんと日本の——?
イースターの頃にイタリアを訪れると、卵型のチョコレートがたくさん売られているのが目に入る。スーパーでは子供向けにキャラクターのついた卵が並び、日本でもおなじみのヴェンキなど高級チョコレート店では大人向けの何千円もする卵型チョコレートが売られている。
ローマでよく朝ごはんを食べに行くバールはパスティッチェリア(焼き菓子屋さん)でもあり、毎年イースターの時期には芸術的なチョコレートの卵が展示されている。
今年もマリトッツォ(パンにクリームを挟んだイタリアの伝統的なスイーツ)とカプチーノ目当てにこのバールに向かった。店内には出社前にコーヒーやパンを食べる人たちが後を絶たない。

驚いたのが、ショーウインドウに並ぶチョコレートの卵が今年は日本人には見慣れた、しかしヨーロッパで見かけるとは思っていなかったデザインだったこと。

今年は「マンガにおける抽象的な現実」というタイトルを冠した展示をしているという。
ヨーロッパでも日本のアニメは人気で、「ドラゴンボール」や「鬼滅の刃」はアニメ好きの若者や大人でも知っているし、ジブリのキャラクターは子供のいる人なら知っているレベルだ。
しかし「アラレちゃん」のうんちくん、「タイムボカンシリーズ」のおだてブタ、「らんま1/2」のPちゃんなどは、 日本人の筆者でも久しぶりに目にするもので、同い年の夫と競うように「あのキャラ、あれだよね!」と言い合った(今年50歳同士なので、「あれ」の具体名が出てくるまで少々時間がかかるという難点はあるものの)。それを17歳スウェーデン育ちの娘は「へえ~、パパとママすごい詳しい!」と感心した表情で見守ってくれた。