就職活動における情報収集の手段が大きく変化している。株式会社リソースクリエイションが2026年卒業予定の学生747名を対象に実施した調査によると、85.8%の学生が企業のSNSアカウントを検索したことがあると回答しており、従来の企業説明会や採用サイトに加えて、SNSが重要な企業研究ツールとして定着していることが明らかになった。
企業の「雰囲気」を知りたい学生たち
学生が企業の選考に進むうえで最も重要視するのは「会社の雰囲気」(60.4%)だった。従来の採用サイトや企業パンフレットでは伝わりにくい、リアルな職場の空気感や社員の様子といった情報を求める学生が多いことがうかがえる。

検索されているSNSプラットフォームではInstagramが67.3%で最も多く、TikTokの41.8%、YouTubeの21.2%、X(旧Twitter)の16.6%を大きく上回った。視覚的な情報を重視する傾向が強く、写真や動画を通じて企業の日常を垣間見ることができるInstagramが、就活生にとって最も魅力的な情報源となっているようだ。

SNSが入社意欲を押し上げる
さらに注目すべきは、88.4%の学生が企業アカウントを見て入社意欲が増したと回答した点だ。単なる情報収集にとどまらず、SNSを通じて企業の雰囲気が感じ取れることが、実際の志望度向上に結びついていることがわかった。

また、「SNSがきっかけで企業の選考を受けたことがある」と回答した学生も53%に上っており、SNSが企業との最初の接点として機能するだけでなく、具体的な応募行動まで促していることも明らかになった。

学生の86%が「企業SNSは必要」と回答
就職活動を進めるうえで企業のSNSアカウントは必要かという質問に対し、86.1%の学生が「必要だ」と回答した。理由としては「精査するツールは多い方が会社の魅力をより知ることができる」「気軽に会社について知ることができる」といった声が挙がった。「ナビサイトやホームページだけでは、固い雰囲気を抱いてしまう」という声からもわかるように、現代の就活生にとってSNSでのリアルな情報発信が企業選択の重要な判断材料となっているようだ。

企業に求められる「リアル」な発信
本調査は、就職活動における情報の流れが根本的に変わったことを示している。かつては企業が発信する情報を学生が受け取るという一方向的な関係だったが、今や学生が能動的に企業を「検索」し、自分の価値観に合うかどうかを判断する時代になった。
作り込まれた採用パンフレットよりも、社員の何気ない投稿に価値を見出すZ世代の感性は、企業と学生の関係性そのものを変えつつある。SNSが企業研究の主要なツールとなった今、人材採用において企業がいかに魅力的なコンテンツを発信できるかも大きな鍵となっていきそうだ。
【調査概要】
調査対象:2026年卒業予定の学生747名
調査期間:2025年2月21日〜9月30日
調査方法:WEBアンケート