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2025.07.13 11:15

ブルーライトカットメガネが睡眠に意外な効果、医学的に確認

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ブルーライトカット眼鏡が目にいいと言われて流行したものの、近年になって効果がないと言われるようになり、眼鏡屋さんもあまり積極的に売り込まなくなった。本当はどっちなのかよくわからなくなった。じつはこれまで、ブルーライトの弊害のひとつである睡眠の質の低下について日本人を対象にした調査は行われてこなかった。そこで、北海道大学と東海光学が共同で調査を実施。日本人のブルーライトと睡眠との関係がようやく明らかになった。

ブルーライトとは、波長が380~495ナノメートルと短い青い光のこと。エネルギーが強いため、目の疲れや網膜へのダメージなどが問題視されている。もうひとつ、ブルーライトは、睡眠ホルモンとも呼ばれるメラトニンの分泌に影響すると言われてきた。とくに450ナノメートルの波長のブルーライトを強く発するスマートフォンなどのLEDパネルを夜間に見続けると、メラトニンの分泌が抑制されて概日リズム(体内リズム)の調整がうまく行われず、睡眠の質を低下させると言われている。

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北海道大学大学院教育学研究院の山仲勇二郎准教授と東海光学ホールディングスの加藤祐史らによる研究チームは、市販のブルーライトカット眼鏡がメラトニンに与える医学的な影響を調べた。目の異常や障害のない20〜31歳の男女7人の参加で行われた実験では、睡眠時間帯や部屋の明るさなどの条件を整えたうえで、午後8時から午後11時までは1時間おき、その後午前1時までは30分おきに唾液を採取してメラトニンの濃度を測定した。

Aは実験に使用したブルーライトカット眼鏡の光の透過率。Bは高照度光条件でのLED照明の波長の分布。Cはブルーライトカット眼鏡を通した光の特性。
Aは実験に使用したブルーライトカット眼鏡の光の透過率。Bは高照度光条件でのLED照明の波長の分布。Cはブルーライトカット眼鏡を通した光の特性。

すると、照明を暗くした部屋では午後9時からメラトニン濃度は徐々に高まり、午前1時には最高値に達した。それに対して部屋を明るくするとメラトニン分泌量の抑制が見られた。だが、ブルーライトカット眼鏡を装着した場合は、明るい部屋でもメラトニン分泌量は高い濃度で推移した。

Aは唾液中のメラトニン濃度の推移。Bはメラトニン濃度の比較。Cはメラトニン抑制率の比較。
Aは唾液中のメラトニン濃度の推移。Bはメラトニン濃度の比較。Cはメラトニン抑制率の比較。

つまり、メラトニンの分泌が抑制される光環境であっても、ブルーライトカット眼鏡はメラトニン分泌を妨げないことが確認されたわけだ。したがって、ブルーライトカットはあったほうがいいということになる。

プレスリリース

文 = 金井哲夫

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