ブルーライトカット眼鏡が目にいいと言われて流行したものの、近年になって効果がないと言われるようになり、眼鏡屋さんもあまり積極的に売り込まなくなった。本当はどっちなのかよくわからなくなった。じつはこれまで、ブルーライトの弊害のひとつである睡眠の質の低下について日本人を対象にした調査は行われてこなかった。そこで、北海道大学と東海光学が共同で調査を実施。日本人のブルーライトと睡眠との関係がようやく明らかになった。
ブルーライトとは、波長が380~495ナノメートルと短い青い光のこと。エネルギーが強いため、目の疲れや網膜へのダメージなどが問題視されている。もうひとつ、ブルーライトは、睡眠ホルモンとも呼ばれるメラトニンの分泌に影響すると言われてきた。とくに450ナノメートルの波長のブルーライトを強く発するスマートフォンなどのLEDパネルを夜間に見続けると、メラトニンの分泌が抑制されて概日リズム(体内リズム)の調整がうまく行われず、睡眠の質を低下させると言われている。

北海道大学大学院教育学研究院の山仲勇二郎准教授と東海光学ホールディングスの加藤祐史らによる研究チームは、市販のブルーライトカット眼鏡がメラトニンに与える医学的な影響を調べた。目の異常や障害のない20〜31歳の男女7人の参加で行われた実験では、睡眠時間帯や部屋の明るさなどの条件を整えたうえで、午後8時から午後11時までは1時間おき、その後午前1時までは30分おきに唾液を採取してメラトニンの濃度を測定した。

すると、照明を暗くした部屋では午後9時からメラトニン濃度は徐々に高まり、午前1時には最高値に達した。それに対して部屋を明るくするとメラトニン分泌量の抑制が見られた。だが、ブルーライトカット眼鏡を装着した場合は、明るい部屋でもメラトニン分泌量は高い濃度で推移した。

つまり、メラトニンの分泌が抑制される光環境であっても、ブルーライトカット眼鏡はメラトニン分泌を妨げないことが確認されたわけだ。したがって、ブルーライトカットはあったほうがいいということになる。