デザインの祭典である「ミラノデザインウィーク」に、LEXUSが初出展して20年を迎える。激動の時代を迎える自動車ブランドは、デザインを通じて我々に何を伝えたいのだろうか?
「自動車業界は急激に変化しており、新製品を提案することにも社会的な責任が伴う。そういうなかでLEXUSがミラノデザインウィーク(以下MDW)に出展するのなら、プロダクトから表現を正しく紐解かなければいけない。つまり製品を通じてコミュニケーションする。それが今年のインスタレーションを考えるうえで大切な要素でした」と語るのは、LEXUSデザイン部 部長の須賀厚一。
現代の自動車はデジタル化が進み、運転者とのつながりが希薄になりつつある。しかしLEXUSでは、人と共にソフトウェアが成長し、唯一無二の体験を提供することを考える。


MDWでは、インスタレーションの体験を通してメッセージを表現することが目的。その中心にあるのが、LEXUSの次世代バッテリーEV(BEV)コンセプトの「LF-ZC」と新世代コクピット操作デバイスである「ブラックバタフライ」だ。
インスタレーションの「A-Un」は、ブラックバタフライの形をしたスクリーンの前の来場者の心拍数と雨など自然界からサンプリングされた不規則な動きである1/fゆらぎが融合し、あうんの呼吸でつながった瞬間に、自然風景が一面に広がる。
「安全に運転するためには、自動車と人間が直感的な対話ができることが大事。ブラックバタフライは、LEXUSの人間中心という考え方を具現化するコンセプト。デバイスそのものは、車を安全に運転するためのものですが、その先にどんな可能性があるかを探していくのです」と須賀。
国際デザインコンペティションであったLEXUS DESIGN AWARDを発展させるかたちで、今年から始まった”Discover Together”も、そのための試みとなる。



「この難しい時代に未来を模索するなら、クリエイターの卵を発掘するのではなく、LEXUSの課題について一緒に考えたほうが、想像しない未来に出合えるかもしれない。思いがけない発見だけでなく、課題に取り組むことで自分がここまでできるという発見にもつながります」
日米3組のクリエイターが、ブラックバタフライをデバイスとした作品を発表。来場者はブラックバタフライに触れながらインタラクティブな体験を楽しんだ。
自動車は単なる移動手段ではない。ユーザーが豊かな時間を過ごすために、LEXUSは何をできるか? MDWはその可能性を探る場所なのだ。
LEXUS MILAN DESIGN WEEK 2025
https://lexus.jp/magazine/artdesign/milan-design-week/
LEXUS DISCOVER TOGETHER
https://lexus.jp/magazine/artdesign/discover-together/

すが・こういち◎レクサスデザイン部 部長。1988年トヨタ自動車に入社。海外経験を経て、2010年にLEXUSデザイン部へ。LS.RXなどのプロジェクトに参画。2018年より現職。