宇宙

2025.06.03 17:00

月とスピカ、木星と水星が寄り添い「夜光雲」に期待を馳せる今週の夜空

ドイツ北部ラーボエから見たバルト海上に輝く夜光雲。2019年6月21日撮影(Matthias Süßen, CC BY-SA 4.0, via Wikimedia Commons)

ドイツ北部ラーボエから見たバルト海上に輝く夜光雲。2019年6月21日撮影(Matthias Süßen, CC BY-SA 4.0, via Wikimedia Commons)

北半球では夏が近づき、夜は短くなる。「ストロベリームーン」の満月を来週に控え、上弦を迎えた月が今週の夜空の主役だ。月とスピカの接近に加え、日没直後には太陽系で最大の惑星である木星と最小の惑星である水星が並ぶ様子が地平線間際に観察できるかもしれない。「夜光雲(やこううん)」という珍しい雲が見られる可能性もある。2025年6月第1週の夜空についてまとめた。

6月3日(火):上弦の月

今宵は上弦の月。夕方の南の空にちょうど半分明るい月が浮かぶ。とても美しい光景だが、月明かりが夜空を照らすため、暗い星や星座は見つけにくくなってしまう。月の右やや下方に目を動かすと、しし座の1等星レグルスと火星がほぼ一列に並んで見えるので探してみよう。

2025年6月3日(東京:19時40分ごろ)の南西の空(Stellarium)
2025年6月3日(東京:19時40分ごろ)の南西の空(Stellarium)

6月6日(金):月とスピカが大接近

夕方から翌7日未明にかけて、ふっくらとした上弦の月が、おとめ座の1等星スピカに大接近する。とても近くに見えるかもしれないが、それは見かけ上にすぎず、この2つの天体の間には261光年の距離がある。

2025年6月6日(東京:23時ごろ)の南西の空(Stellarium)
2025年6月6日(東京:23時ごろ)の南西の空(Stellarium)

6月7日(土)~8日(日):木星と水星が接近

西北西の地平線まで見晴るかせる場所なら、日没直後に木星と水星が並ぶ様子を拝めるかもしれない。いずれも本来は肉眼で見える惑星だが、薄明の中で地平線ぎりぎりの位置にあるため、双眼鏡は必須だろう。これが太陽の明るさに隠れる前に木星を見られる最後のチャンスとなる。木星は6月25日に地球から見て太陽と同じ方向にくる「合」となり、7月になると明け方の東の低空に再び姿を現す。

今週の天体:夜光雲

夜光雲。2014年7月8日撮影(Pavel Marianov from London, United Kingdom, CC BY 2.0 <https://creativecommons.org/licenses/by/2.0>, via Wikimedia Commons)
夜光雲。2014年7月8日撮影(Pavel Marianov from London, United Kingdom, CC BY 2.0 , via Wikimedia Commons)

北半球の6月は夜が短いものの、黄昏が深まるころに北の空の高いところに壮大な雲が見えることがある。高度80kmの高層大気(中間圏)に生じる繊維状のこの雲は「夜光雲(やこううん)」といい、宇宙から降ってきた微隕石が残した塵を核とする氷の粒でできた雲だ。

今週の星座:おとめ座

おとめ座は今週、日没後の南の空に見える。6日に上弦の月とランデブーする1等星スピカは、おとめ座で最も明るい星で、北斗七星を手掛かりにすると見つけやすい。「ひしゃくの柄」のカーブをそのまま伸ばした「春の大曲線」を辿っていくと、うしかい座の赤みがかった1等星アルクトゥルスの先に青白くスピカが輝いている。おとめ座には、私たちが住む天の川銀河から約5400万光年離れた銀河の集まり、おとめ座銀河団がある。

おとめ座(Shutterstock.com)
おとめ座(Shutterstock.com)

forbes.com原文

翻訳・編集=荻原藤緒

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