ウクライナ国防省は、国産の無人地上車両(UGV)「KRAMPUS(以下クランプス)」を正式に軍用装備として採用した。この車両は反応式熱圧兵器を搭載しており、小型・ステルス性・高破壊力を兼ね備えたものだ。攻撃・防御の両方の任務に対応可能で、ウクライナの最新ロボット兵器の中でも最も強力な戦力の一つとされている。
クランプスの重量はわずか11kgで、非常に携帯性に優れており、ピックアップトラックやトレーラー、さらにはミニバスでも容易に輸送できる。電動モーターで駆動し、キャタピラ式のシャーシを採用しているため、森林・湿地・砂地・急斜面といった多様な地形でも、音を立てず、静かに動くことができる。また、電子戦に対する耐性も備えており、雪・雨・高温といった過酷な環境下でも安定して作戦を遂行できるのだ。さらに、強力なバッテリーシステムにより、頻繁な補給なしでも長時間の任務が可能である。
クランプスの中核をなすのは「RPV-16」というロケット推進式の熱圧兵器。この弾頭は微細な燃料ミストを0.2秒以内に点火し、約2,500℃の火球を発生させる。この高温と過圧による爆発は、特に密閉された空間や要塞化された場所において壊滅的な効果を発揮し、塹壕や建物、地下壕の制圧に非常に効果的だ。

RPV-16の射程は最大1キロメートルに達し、その火力は122mm榴弾砲の砲弾に匹敵する。このため、クランプスは前線戦闘だけでなく、爆発物処理(EOD)や市街戦といった場面でも戦術的に重要な役割を果たすだろう。
ロシアによる本格的な侵攻が始まって以来、ウクライナの防衛産業はロボット兵器の開発を加速させてきた。国防省はこれまでに80種類以上のロボティック・プラットフォームを承認しており、その大多数は国産。参考までに、3年前には承認されたロボットシステムはわずか10種だったが、その翌年には50種を超え、2025年だけでもすでに20種類以上が承認されている。
その中でも、クランプスはコンパクトながら極めて高性能な戦場ツールとして際立っており、現代戦におけるウクライナの革新性と適応力の象徴となっている。
(本稿は英国のテクノロジー特化メディア「Wonderfulengineering.com」6月21日の記事からの翻訳転載である)