もうすぐ夏到来だが、気候変化の影響もあるのか、最近よく耳にするのが熱中症というフレーズである。熱中症とは、高温多湿な環境下で、体内の水分や塩分のバランスが崩れたり、体温を調節する機能が正常に働かなくなったりすることによって引き起こされる、さまざまな健康障害の総称であり、重症になれば意識障害や死に至るケースもある。
しかし、熱中症に至る前段階で、すでに体に不調が生じているケースがあることをご存知だろうか。ダイキン工業が昨夏、全国の20代以上の男女を対象に行った調査で、「熱あたり」と呼ばれる症状が、熱中症の一歩手前のサインとして見過ごされがちであることが明らかになった。この「熱あたり」という言葉はあまり耳慣れないかもしれないが、実は多くの人が経験している体調不良であり、適切な対策を講じなければ、より深刻な熱中症へと進行する危険性をはらんでいる。

熱中症と診断されるような症状から軽い不調までを含めた「熱あたり」の症状を感じた経験がある人を調査したところ、64.6%の人が経験したと回答。実際に経験したことのある症状としては、「睡眠の質の低下」(51.4%)、「疲れがとれない」(46.0%)、「倦怠感」(30.8%)などが上位を占めた。「足がつる」「集中力や判断力の低下」「大量の発汗」「頭痛」といった熱中症の初期症状と重なる部分の人も多く、病院へ行けば熱中症と診断される可能性も高い。


こういった症状のときに、どの程度パフォーマンスが低下したか問うたところ、「そこそこ低下した」と感じた人が約半数(48.6%)を占め、「かなり低下した」(14.2%)や「大幅に低下した」(3.8%)を含め低下を感じた人は6割以上を占めている。

ダイキン工業によると、こうした「熱あたり」の対策としては、体の熱を逃がしやすくすることが大切で、暑くなる前の1~2週間ほど、ウォーキングやジョギング、筋トレやストレッチ、入浴などを継続して汗をかきやすい体をつくる「暑熱順化」に取り組むことも効果的。暑くなってからは、できる限り暑さ(熱)を避けることが大切だとしている。
本格的な夏が到来する前に、自身の体調の変化に意識を向け、「熱あたり」のサインを見逃さないことが、熱中症から身を守るための第一歩となる。早めの対策で、この夏を健康に乗り切りたい。
出典:ダイキン「夏場の熱による体調不良に関する全国調査」より