海外

2024.05.13 15:00

がん患者ごとに最適な治験をAIが提案、米トリオミクスが23億円調達

木村拓哉
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米国のがん専門医は、患者に変化をもたらし得る多くの革新的な臨床試験や新しい治療法を利用できる可能性がある。だが、患者にどの治験が最適なのかを特定するのは時間がかかる。複数の患者に対してその作業を行うとなると、なおさらだ。カリフォルニア州サンフランシスコのスタートアップTriomics(トリオミクス)は、人工知能(AI)を用いた自社のプラットフォームがその解決策だと主張している。

「当社のテクノロジーは多くの患者を救うことができると考えている」とトリオミクスの共同創業者で最高経営責任者(CEO)のサリム・カーンは話す。同社は米国時間5月9日、新たに1500万ドル(約23億円)を調達したと発表した。「患者の一覧表を見直すという作業の負荷は、患者が臨床試験やバイオマーカーを用いた治療を受けられないなど、臨床の遅れにつながる可能性がある」とカーンは言う。

トリオミクスによると、現在、患者データの約20%は既存のテクノロジーで対応可能なアクセスしやすいフォーマットで保存されている。だが残りの80%は医師のメモのような非構造化データで、手作業で検索する必要がある。がん専門医は各患者の重要なデータポイントを特定するために、つまり治験や新しい治療法を利用できるかどうかを確認するために、全記録を丹念に調べる必要がある。

そうした手作業に取って代わるのがトリオミクスのプラットフォームだ。特別に開発された大規模言語モデル(LLM)を使用する同社のプラットフォームは、がん専門医がそうした作業に時間をとられることがないようにし、また多くの患者により良い治療結果を迅速に提供することを目指している。
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翻訳=溝口慈子

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