教育

2024.04.26

病児や障がい児の進路と自立 18歳以降の居場所問題

spass / Shutterstock.com

筆者は2018年から、病気や障がいのある子どもと家族のQOL(Quality of life)の向上を目的として、「チャーミングケアを広める活動を行う」という理念のもと、一般社団法人チャーミングケアを運営している。

「チャーミングケア」とは、病気や障がいのある子どもたちの外見ケアやメンタルケア、寄り添う家族のメンタルケアなどを指す私たちがつくった造語だ。

2020年に国内唯一の病児や障がい児専門の医療ケアグッズを販売するECマーケットプレイス「チャーミングケアモール」をサービスローンチし、2022年には病児や障がい児を持つ保護者の就労サポート事業「チャーミングケアアンバサダー」も開始している。

チャーミングケアアンバサダーでは定期的に課題シェアなども行っているのだが、病児や障がい児とその保護者が抱える悩みの1つに、「特別支援学校を卒業した後の居場所をどうするか?」ということが挙げられる。

障がいの程度に合わせて、そのような子どもの居場所を確保するのは容易ではなく、在宅介護を続けるためにやむを得ず仕事を手放す保護者もいるのが現状だ。

病児や障がい児の特別支援学校卒業後の進路

病児や障がい児の特別支援学校を卒業した後の進路は、障がいの程度や本人の希望などによって異なる。

文部科学省が実施している「令和5年度学校基本調査」によれば、特別支援学校高等部を卒業した人のうち、6割程度が「社会福祉施設などへの入所・通所」を選択している。

卒業後に就職する人は2割程度であり、大学や短期大学、専修学校へ進学する人に至ってはかなり少数だ。また前出の社会福祉施設などへ入所・通所する人のうち、半数以上は就労系支援事業所を利用している。

就労系支援事業所とは、障がい者総合支援法に基づく就労系障がい福祉サービスを提供する機関であり、以下のロードマップのように3種類がある。
•「一部抜粋」とあるのは、障がいの度合いによって生活介護施設を利用する人もいるため、それ以外の就労場所での働き方ロードマップとなっている

•「一部抜粋」とあるのは、障がいの度合いによって生活介護施設を利用する人もいるため、それ以外の就労場所での働き方ロードマップとなっている

(厚生労働省「障害福祉サービスについて」より抜粋)

(厚生労働省「障害福祉サービスについて」より抜粋)

「18歳になったら家を出たほうがいい」という声

2023年12月、筆者は「スケッター」というサービスを介して、全介助が必要とする重度障がいがありながら1人暮らしをされている人の家を訪問し、ホームケアについてや、本人のこれまでの経歴などを傾聴するという「インタビュー助っ人」を体験させていただいた。

そのインタビューでは「18歳になったら家を出たほうがいい」という当事者の人の貴重な意見を聞いたので参考として一部紹介したい。
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文=石嶋瑞穂

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