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2024.05.04 11:00

年30億円を稼ぐ22歳、「Z世代のアイコン」エマ・チェンバレンの実力

木村拓哉

エマ・チェンバレン(Getty Image)s

2017年にエマ・チェンバレンがYouTubeチャンネルを開設したとき、彼女はZ世代のアイコンになるつもりはなかった。しかし、その後の何百本ものビデオを通して、現在22歳のクリエイターは変身した。

この7年間の活動を経て、チェンバレンは同世代で最も影響力のあるクリエイターのひとりとなった。YouTubeのチャンネル登録者数が1200万人を超え、インスタグラムのフォロワー数が1500万人を超える彼女は昨年、約2000万ドル(約30億円)を稼いだとフォーブスは推定している。彼女の活躍の場は、インターネットの外にも広がっており、ルイ・ヴィトンやランコム、カルティエなどの高級ブランドの広告にも登場している。

しかし、そのような地位に上り詰めた今も、チェンバレンは、どこにでもいる女の子のようなキャラクターを維持している。彼女は最近、その親しみやすさを、自身のスタートアップであるチェンバレン・コーヒーの拡大に活かしている。

2021年のフォーブス「30 UNDER 30」に選ばれたチェンバレンは、「私はコーヒーが大好きなんです」と語る。「コーヒーに『敷居が高い』というイメージを持つ人もいますが、私はそれを変えるブランドを作りたいと思ったのです」

米国の大手タレントエージェンシーUTAの投資部門の支援を受けて2019年に設立されたチェンバレン・コーヒーは、投資家から1500万ドル(約23億円)の資金を調達した。製品は、コーヒー粉から抹茶パウダーまで幅広く、最近では缶入りのラテも発売した。2022年から2023年にかけて、同社の売上はほぼ倍増し、フォーブスは昨年の売上を2000万ドル(約30億円)と推定している。

高校を中退しロサンゼルスに

サンフランシスコのベイエリアで育ったチェンバレンは、高校3年生になる前の夏、メンタルヘルスの悩みを抱え、運転免許の試験にも落ちた。そして、気晴らしにYouTubeを始めてみたのだった。最初は、ファッションや美容に関する、彼女が言うところの「きちんとした」内容のものから始めたが、すぐにそのスタイルに飽きてしまい、新しいやり方で視聴者を楽しませことにした。

「最初は笑える動画を作ることが主な目標でした。それが私のスタイルになったのです」と彼女は言う。彼女は自問した。「ありふれたことを可能な限り面白くするにはどうしたらいいのか?」と。

チェンバレンは、ごく短期間でクイックカットやズームイン、ワープフィルターといった多様な編集を加えた動画に、ベッドでくつろぎながらコメントする彼女独自のスタイルを確立した。そして2018年、高校を中退したことをYouTubeで発表してから1年後に、登録者数100万人を達成し、単身ロサンゼルスに移住した。

彼女は、キャリアを次のレベルに引き上げるためのチーム作りを始め、2019年にはパリのルイ・ヴィトンのショーに招待され、その1年後にはポッドキャスト『Anything Goes』を立ち上げ、スポティファイとの複数年契約を勝ち取った。
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編集=上田裕資

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