海外

2024.05.14 14:00

自動運転クルーズの元CEOが「ロボット新会社」で234億円調達

木村拓哉
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Kyle Vogt(Photo by Kimberly White/Getty Images for TechCrunch)

苦境に陥ったロボットタクシー会社クルーズのCEOを辞任したカイル・ヴォクトが、新たなロボット・スタートアップのために1億5000万ドル(約234億円)を調達したことが明るみに出た。

ヴォクトは米国時間5月13日、新会社のThe Bot Company(ザ・ボット・カンパニー)を設立したと発表した。関係筋によると同社の評価額は5億5000万ドル(約860億円)で、出資元にはスパークキャピタルに加えて、GitHubの元CEOで人工知能(AI)に特化したファンドを運営中のナット・フリードマンが含まれているという。

ヴォクトは、これまで2つの10億ドル規模のエグジットを成功させた連続起業家で、2014年にはTwitchをアマゾンに売却し、2016年にはクルーズをゼネラル・モーターズに売却していた。彼は、クルーズの元エンジニアで技術アドバイザーのルーク・ホロウベクと、テスラのオートパイロット・システム部門のリーダーだったパリル・ジェインらとともにザ・ボット・カンパニーを立ち上げた。

ヴォクトの新たなベンチャーは、家事や洗濯などをこなす家庭用ロボットのハードウェアとソフトウェアの構築に乗り出していると情報筋は述べている。また、同社は人型ロボットも検討中で、Discordのようなチャットサーバーを通じてリクエストを送信することで、機能や特徴をユーザーが自由に設定できるようにする予定だとされている。

設立からまだ数カ月の同社のビジネスプランは、今後変更される可能性があるという。しかし、創業者たちがクルーズやテスラで培った自動運転分野の知見は、自律型ロボットの背後にある技術的課題に直接応用できると、業界のオブザーバーは述べている。

ロボット分野の投資ブーム

ロボット工学の分野は、まだ黎明期にあるが劇的な投資ブームの恩恵を受けており、1月にBMWとの協業を発表したFigure AI(フィギュアAI)は、翌月にはマイクロソフトやエヌビディア、OpenAI、ジェフ・ベゾスなどから26億ドルの評価額で6億7500万ドル(約1060億円)を調達した。

また、OpenAIの支援を受けるノルウェー企業1X(ワンエックス)も、汎用的なハードウェアとソフトウェアの構築を試みており、1月に1億ドル(約156億円)を調達した。ソフトウェアのみに専念する企業としては、3月に7000万ドルを調達したPhysical Intelligence(フィジカル・インテリジェンス)や、3億ドルの調達を準備中とされるSkild(スキルド)などが挙げられる。さらに、先月1億ドルを調達したCollaborative Robotics(コラボレイティブ・ロボティクス)のように、非ヒューマノイド型の小型ロボットを開発している企業もある。

長年、ロボット工学に興味を持っていたヴォクトは、カンザス州の小学生だった頃にロボット戦闘テレビ番組『バトルボット』に出場し、マサチューセッツ工科大学(MIT)在学中には、ルンバを開発したアイロボット社でインターンを務めていた。

自動運転企業のクルーズは、ヴォクトの指揮の下でウェイモのようなライバルと競争しながら、ロボットタクシー事業の規模を拡大するために迅速に動いた。しかし、2023年10月、同社の車両が歩行者を3メートルも引きずる事故を起こした結果、カリフォルニア州の当局はクルーズのライセンスを取り消し、同社はアリゾナ州とテキサス州での事業の閉鎖に追い込まれた。そして、ヴォクトは昨年11月にクルーズの職務を辞任していた。

forbes.com 原文

編集=上田裕資

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