スポーツ

2024.04.15

批判殺到するナイキの米五輪代表女子ユニフォーム、露出度高く性差別的と

フランス・パリで2024年4月11日に開催されたナイキ・エア・イノベーション・サミットで披露された五輪代表ユニフォームの一部(Dominique Maitre/WWD via Getty Images)

米スポーツ用品大手ナイキがパリ五輪に出場する陸上米国代表の女子選手向けにデザインしたユニフォームが、不必要に露出度が高く性差別的だとして、現役選手や元選手から厳しい批判を浴びている。怒りの声は、五輪で対戦するライバルたちを含む世界中の女性から上がっている。

ナイキは11日、五輪開催地のパリで開催したイベントで陸上の代表ユニフォームをお披露目した。男子はぴったりしたタンクトップと太もも半ばまで丈があるショートパンツ、女子は鼠径部が大きくカットされたハイレグ仕様のレオタードとなっている。


このユニフォームにはたちまち肌を露出しすぎだとの批判が巻き起こり、米紙ニューヨーク・タイムズは「なかなか複雑で念入りな身だしなみ」が必要になりそうだと報じた。

元ハードル米国代表のクイーン・ハリソン・クレイは、米脱毛サロン大手のヨーロピアン・ワックス・センターをパリ五輪米国代表のチームスポンサーにしてはどうかと提案。米国代表としてパラリンピックに2回出場したフェミタ・アヤンベクは、インスタグラムに「どう見てもジョークだ」と投稿した

走り幅跳び英国代表のアビゲール・アイロズルはユニフォームの写真をSNSで共有し、「制作にあたって誰か女子アスリートに相談しなかったのだろうか」とコメントした。

パリのお披露目イベントでは、世界陸上で金メダルを2回獲得した短距離米国代表のシャカリ・リチャードソンがモデルを務めたが、ショートパンツ仕様のユニフォームを着用していた。

ナイキはフォーブスの取材に応じなかった。同社の最高イノベーション責任者ジョン・ホークはニューヨーク・タイムズに対し、11日に発表されたユニフォームはいくつかある選択肢の1つにすぎないと説明した。

ただ、全米選手権で優勝歴のある元陸上選手のローレン・フレッシュマンは「プロのアスリートというのは、アンダーヘアがはみ出ていないか四六時中気を付けたり、センシティブな体の部分を人目にさらしている状態にどうにか折り合いをつけたりするのに頭を使うことなく、競技に集中できるようでなければおかしい」とインスタグラムで指摘している

一方、棒高跳びの五輪金メダリストであるケイティ・ムーンは、思ったより肌の露出は少なかったとの見解を表明。「今日、同じスタイルを試着してみたけれど、アレが飛び出す心配はなかった」とX(旧ツイッター)に投稿し、露出度が高く見えるのは「単にマネキンのせいだと思う」と記した。

女子アスリートのユニフォームをめぐる議論は、2021年にノルウェーのビーチハンドボール女子代表チームがビキニボトム着用を義務づける規則に反発し、ショートパンツで欧州選手権の試合に臨んだことで火が着いた。チームは欧州ハンドボール連盟から罰金1500ユーロ(当時のレートで約20万円)を科されたが、同じ競技でも男子選手のユニフォームは肌の露出が少なく、女子はビキニや体の線があらわになる素材のユニフォームしか選べないのはなぜかが世界的な論争となった。

その翌週、ドイツの体操チームが五輪予選に通常のレオタードではなく足首まで覆う「ユニタード」を着用して出場。2023年のサッカー女子W杯では、イングランド代表が「試合中に突然生理が始まるかもしれない女子選手の不安」を解消するため、ショートパンツの色を従来の白から青に変更した。

forbes.com 原文

翻訳・編集=荻原藤緒

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