欧州

2024.04.13 10:00

ロシアの戦車はあと1年で枯渇か、死傷者も年30万人ペース ウクライナ正念場

安井克至
ウクライナが保有する最も優れた防空システムも、米国製のミサイルが足りないために鳴りをひそめるようになっている。首都キーウ、東部のハルキウ、南部のオデーサといった大都市は、ロシアが増やしているミサイル攻撃や砲撃、自爆型ドローン攻撃などに対する防御が薄くなってきている。

ウクライナでは3月、こうした空襲によって子どもを含む民間人600人が死亡した。4月11日未明には、ミサイル攻撃でキーウ州最大の発電所が破壊され、多数の世帯や重要な兵器の工房が暗闇に包まれた。米国のブリジット・ブリンク駐ウクライナ大使は「もっと多くの防空システム、そしてわが国の支援が、今すぐ必要です」と訴えている

ウクライナ軍は劣勢に立たされている。だが優勢なロシア軍はと言えば、兵士はろくな訓練を受けておらず、車両は大昔のものだ。つまりウクライナ軍が劣勢なのは、たんに弾薬が不足している結果なのだ。

カボリ大将は「(ウクライナが)現在保持している領土と領空を守る能力は、米国の継続的な支援がなければ急激に低下するだろう」と議会で警告した。逆に言うと、米国の支援があればウクライナ軍は弾薬や武器を回復し、ロシア軍による空襲から都市を守り、近代的な兵器を急速に失っているロシア軍に対して、火力面で優位に立つことができるだろう。

悲劇的なのは、どちらになるかはウクライナ自身では決められないということだ。それはひとりの米国人にかかっている。米下院で、わずかな差で多数派を占める共和党のリーダー、ジョンソンその人だ。

ウクライナのヴォロディミル・ゼレンスキー大統領は、米国のウクライナ支援をめぐる政治的な事情も、この支援に何が懸かっているかもよくわかっている。

12日、エストニアのカヤ・カッラス首相に宛てたメッセージのなかで、ゼレンスキーはこう述べている。

「ウクライナのパートナーたちが断固とした行動をとれば、わたしたちはロシアのテロをこれ以上広がる前に打ち負かせる。わたしはそう確信しています」

forbes.com 原文

翻訳・編集=江戸伸禎

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