スポーツ

2024.04.10 14:00

MLBでたった3人、「40歳超えの投手」たちの挑戦

木村拓哉
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穏やかな口調で話すニュージャージー州生まれのモートンは今シーズン、先発投手陣では4番手に甘んじている(スペンサー・ストライダー、マックス・フリード、移籍まもないクリス・セールに続く)。しかし、経験では誰にも負けない。昨シーズン14勝のモートンは、セカンドピッチングコーチでもあり、若手投手陣に自身の技術を伝授している。ブレーブスと交わした年間2000万ドル(約30億円)の契約には、コーチとしての役割も含まれているのだ。
アトランタ・ブレーブスのチャーリー・モートン投手(Photo by Alex Slitz/Getty Images)

アトランタ・ブレーブスのチャーリー・モートン投手(Photo by Alex Slitz/Getty Images)

一方、眼鏡がトレードマークのベテラン投手チャベスは、シカゴ・ホワイトソックスとマイナー契約を交わして2024年春季トレーニングに入ったものの、オープン戦の出来が散々だったため、キャンプ終了直前に解雇を言い渡された。しかし、ブレーブスがすぐさまチャベスを獲得。チャベスはブレーブスに過去4度入団しており、チームにとっては幸運を呼び込むような存在だ。

8月に41歳を迎えるチャベスはカリフォルニア州生まれで、ブレーブス時代の成績は通算11勝7敗、防御率3.01。2021年にはワールドシリーズ優勝に貢献した。生涯成績は50勝63敗で、防御率は4.30。1試合で数イニングを投げるリリーフ投手にとって、すごい成績とは言えない。

2023年のブレーブス在籍時には、36試合を投げて防御率1.56と華々しい出来だった。しかし、試合中に打球が足にぶつかってケガをし、故障者リスト入りとなった。

チャベスを120万ドル(約1億8000万円)で獲得したことは、ブレーブスにとって、比較的お買い得といえる。負傷せずにプレーを続けられれば、なおのこといい。彼は打者を圧倒するようなボールは投げられないが、ストライクを取れる投手だ。キャリア17年間で、奪三振率(9回あたりの平均奪三振数)は8.22だが、与四死球率はわずか2.84となっている。

未契約状態のヒルについては、獲得を検討するチームが出てくる可能性はある。ヒルはプロ入り19シーズン目のベテランで、通算90勝73敗、防御率は4.01だ。昨シーズンはサンディエゴ・パドレスとピッツバーグ・パイレーツで投げ、成績は8勝14敗。チャベスと同じくらい、トレードと契約を繰り返してきた。

先発やロングリリーフをこなせる左腕投手の方が、得てして長く現役を続けられる。その好例が、2013年に引退したジェイミー・モイヤーだ。変化球を得意とした投手で、通算269勝をあげ、49歳でスパイクを脱いだ。

セントルイス・カージナルスを長く引っ張ってきたウェインライトは、キャリア通算200勝をあげ、2023年のシーズン終了後に41歳で引退した。カージナルス一筋で、捕手ヤディアー・モリーナと長年バッテリーを組んだ。いずれは殿堂入りを果たすかもしれない。

バーランダーもまた、300勝を達成するか否かにかかわらず、殿堂入りするだろう。

投手人生は、40歳からが本番だというわけではない。しかし、40歳で終わるわけでもないのだ。

forbes.com 原文

翻訳=遠藤康子/ガリレオ

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