アジア

2024.04.08 09:00

中国経済、過去の成功にすがらない改革でGDP20%増も可能 IMFトップが提言

荻原藤緒
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IMFによるこれらの提言は、経済フォーラムの翌3月25日の日程に出席するため北京に集結していたグローバル企業のCEOの耳に心地よく響いただろう。今回のフォーラムにはアップルのティム・クック、ファイザーのアルバート・ブーラ、フェデックスのラジ・スブラマニアムらが名を連ねていた。

25日のフォーラムでは金壮竜・工業情報化相が、居並ぶCEOたちを前に「外国企業の(中国にある)研究開発センターが、大規模な研究プロジェクトを実施するのを奨励する」と述べ、こう付け加えた。「わが国は、技術革新や新事業のために中国にやってくる世界中の科学者、起業家、投資家にサービスと保護を提供する」

だが、この時中国を訪れていた企業トップは、こうした甘言の裏を知り抜いているはずだ。市場を開放し、公平な競争の場を用意する、という中国側の約束と、足元のリアルな現実のあいだには大きな開きがあり、これが多国籍企業が対中国投資を敬遠する理由となっている。

中国にとって最も差し迫った課題は、当然ながら、経済成長率を本年度の目標である5%にできるだけ近づけるよう手を打つことだ。

中国人民銀行は今年2月、期間5年以上のローンプライムレートを0.25ポイント引き下げて3.95%とした。2023年6月以来の引き下げであり、おそらく今後も同様の動きがあるとみられる。

ING銀行のエコノミスト、リン・ソンは「2024年初頭の状況を見ると、インフレ率は低く、経済成長もいまだに勢いを取り戻すには至っていない。中国の金融政策は、今後も緩和的な傾向を維持するだろう」と予測する。

しかし、中国の経済成長の質を高めるためには、IMFのゲオルギエバ専務理事が講演で詳述したような大胆な改革が、金融政策よりもはるかに重要だ。習主席と李首相がこうした改革の実行を確認する時期が早ければ早いほど、今後の中国経済はさらに大きな成長を遂げるはずだ。

forbes.com 原文

翻訳=長谷 睦/ガリレオ

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