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2024.03.28

ガザの子どもたちが直面する飢餓や栄養失調、心身におよぼす影響

Youssef War / Shutterstock.com

国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)の情報を引用した国連のトルコ政府代表部の報告書によると、イスラエルとイスラム組織ハマスの昨年10月の開戦以来、少なくとも1万2300人の子どもを含む3万1000人を超えるパレスチナ人が死亡した。

これらの死は爆弾だけが原因ではない。食料の供給が途絶えたために、多くの人が飢餓や栄養失調、脱水症状で亡くなっている。米AP通信が報じたパレスチナ自治区ガザ地区の保健省の発表によると、同地区北部にあるカマル・アドワン病院とシファ病院だけでも少なくとも20人が栄養失調と脱水症状で死亡し、そのほとんどが子どもだという。

栄養失調は、きちんと身体を機能させるために必要な栄養素を摂取できない場合に陥る。一方、飢餓は身体に必要な機能を維持するのに十分なカロリーが摂取されないときに起こる。どちらも放置しておくとやがて重い病気や臓器不全につながり、最終的には死に至る。

カロリー摂取と栄養摂取の減少が子どもにもたらす最も明白な影響の1つは、発育不全だ。飢餓状態では身体は成長よりも生存を優先するため、飢餓や栄養失調に陥った子どもは低体重・低身長になる。

また、免疫系も弱くなるため肺炎や腸の感染症、マラリアなどの病気にかかりやすくなる。栄養失調になると身体のあちこちで起こり得る感染に抵抗するのに不可欠なビタミンを十分に摂取できない。例えば、ビタミンCは感染症を撃退するのに必要な白血球の機能を高める。だが、ビタミンCは免疫機能を強化する数多くのビタミンの1つに過ぎない。

飢餓や栄養不良は、心臓や循環器系にも深刻な影響を及ぼす。飢餓は最終的に、生き延びるために心筋を含む筋肉を萎縮させる。時間の経過とともに心臓は衰弱し、血液を効率的に全身に送り出すことができなくなる。
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翻訳=溝口慈子

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