パタゴニアの「味噌」づくり 世界最高水準のオーガニックを形に

鈴木 奈央
こうして環境負荷の低い生産方法で育った大豆を、自家採種の蔵つき麹菌で天然醸造を行う福井県のマルカワみそにつくってもらったのが、今回パタゴニア プロビジョンズが発売した味噌だ。日野川の伏流水を水源とする地下水を使用し、大豆と玄米と白米をブレンドし、約20カ月間長期熟成しているため、味に深みとコクがあり、伝統的な日本の味噌の旨味や風味が楽しめる。

プロダクトは家庭で楽しめる「オーガニック味噌」と、アウトドア企業ならではの持ち運びに便利な「オーガニック味噌・トゥー・ゴー」の2タイプ。

「味噌は常温保存が可能なので、登山やキャンプ時に持っていき、おにぎりにつけて焼いたり、野菜につけて食べるなど、フリーズドライとは違った楽しみ方ができます。こだわった素材、製法でつくっているので、ぜひそのまま味わってもらいたい」と大野。パタゴニア全店と、FOOD&COMPANY、ヤマダストアーなどの小売店でも販売される。

「RO認証をつくった団体の一つであるロデール・インスティテュートの研究によれば、世界中のすべての耕作地と放牧地がリジェネラティブ・オーガニック農法に移行すれば、世界中の毎年の二酸化炭素排出量よりも多い炭素を土壌中に隔離できると試算されています。

気候変動という世界的なビッグイシューの解決にも一役買え、生産も草刈りと肥料だけでシンプル、自然や動物、労働者の環境に優しく、穫れる野菜もオーガニックで美味しい。このような理想的な循環を自分たちで実践・実証することで、少しでも多くの方々に関心を持っていただければ嬉しいです。そうして賛同くださる方が増えて活動の輪が広がれば、それこそみんなで地球の健康に貢献していけると思うんです」(大野)
Three little birds代表の佐藤真吾とパタゴニア プロビジョンズの大野由紀恵

Three little birds代表の佐藤真吾とパタゴニア プロビジョンズの大野由紀恵

佐藤真吾◎Three little birds業務執行社員。公益財団法人自然農法国際研究開発センターで研修後、千葉県匝瑳市で就農し、有機栽培農家として活躍。2021年よりパタゴニアと共同でリジェネラティブオーガニック農法を実践している。

大野由紀恵◎パタゴニア プロビジョンズ。大地を守る会を経て、2018年にパタゴニア日本支社に入社。同社のプロダクトはもとより、地球環境に配慮した活動そのものの認知拡大を目指して活動している。

文=國府田淳 写真=西谷玖美

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