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2024.03.28

オワハラ、就活塾─現役大学生が見た新卒就活の「病巣と処方箋」

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「将来やりたいことってウキウキするはずなのに、そのための過程、全然ウキウキじゃない!」

就職活動の最中である現役大学生の筆者が、新卒就職界隈のリアルに迫る。

実は筆者自身も就活をきっかけに自信を失い、将来の見えない不安に苛まれた経験をもつ。また、周りの友人と話すうち、自分だけでなく、大学生の多くが就活に悩み苦しんでいることがわかった。

そこで本稿では、自分自身の経験や大学生を対象にしたアンケートを元に日本の就活の具体的な問題点をリストアップしてゆくことで、就活に悩む大学生の生の声を届けたい。


現役就活生が感じる、「これが選考の問題点」


現役大学生が感じている就活の問題点とは、具体的にどのようなものだろうか。
ここでは、20名の現役大学生を対象にした聞き込みをもとに、特に指摘の多かった4点を取り上げる。

1.就活早期化による学業との両立の難しさ

年々就職活動の早期化が進んでいる。法律上、就職活動の時期については広報活動3月、採用選考活動6月と定められているが、その前に「内々定」という形で採用を通知する企業は多い。経団連と全国の大学が参加する産学協議会の要望により、25卒就活生からインターンシップが採用に直結するようルールが変更となった。

実際、dodaキャンパスの調査によると、25卒就活生の実に82%が夏インターンシップに参加したそうだ。

ではこの「就活の早期化」は学業にどんな影響をもたらしているのだろうか。具体的には、平日に就活が被ると授業やテストに出席できず、単位を落としたという声が多く聞かれた。面接やインターンは多くの場合平日に行われる。将来をかけた面接と学業を天秤にかけた結果、学業が疎かになってしまうのである。企業側はこの事実に対して目を背けているのではないか。

学業優先のはずの大学が、就職のための準備期間のようになっている。これが就活の現状だ。

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2.学生側に企業を選ぶ権利がない

本来、就職活動とは企業と学生のマッチングであるため、両者は対等であるべきだ。

しかし、「オワハラ(※1)」や「サイレント(※2)」が横行する現状を見ると、企業側の権限が強いように感じられる。学生にも企業を選ぶ資格があることが見落とされているのではないか。

(※1)「オワハラ」とは、「就活終われハラスメント」の略称である。内々定や内定を出した学生を企業が囲い込み、他の企業を受けさせないように誓約書を書かせるなど、学生の選択を制限する行為を指す。
(※2)「サイレント」とは、学生側に通知なしで選考を不合格にすることを指す。学生側は来るか分からない連絡を待ち続けることになる。

このように、人生の重要な決断の決定権を企業側が握っている現状では、学生の権利が十分に保証されているとは言い難い。企業と学生の立場の不均衡により、とりあえず会社に入ることがゴールとなり、学生は本当に自分がやりたいことに向き合いにくくなっている。
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文=神谷果歩(Forbes JAPANスチューデント・エディター) 編集=石井節子

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