経済・社会

2024.02.15 13:30

多様化が進む「趣味」の世界。熱狂が生む経済圏が拡大中

Forbes JAPAN編集部

イラストレーション=岡村亮太

音楽鑑賞や旅行だけが趣味じゃない。熱狂する趣味人が新しい経済圏を切り開いていく事例がたくさん生まれている。マクアケ創業者による好評連載第38回。


趣味といえば、どんなものを思い浮かべるだろうか? 「人気の趣味」で検索してみると、音楽鑑賞や旅行、読書に映画鑑賞などがランキングの上位に入っているようだ。そのランキングをどんどんたどっていくと、アニメや利き酒、ドローン、サバイバルゲームなどの最近よく耳にするものに加えて、古墳巡りや裁判傍聴などのユニークなものもあり、本当に千差万別な趣味が並んでいた。なかにはクスッと笑ってしまうような趣味もあったが、ここ10年くらいの間で、趣味の世界はどんどん多様化しているように思う。

SNSが普及し、自分らしさを追求することがむしろ普通になった時代において、どんな趣味であれ市民権を得られるようになったのだなとしみじみ感じた。
 
こうした趣味の世界を市場として見たとき、その規模はもちろんまちまちだ。それぞれの趣味の業界ごとに、狭いながらもその経済圏がどんどん深掘りされている潮流を感じる。
 
例えば、麻雀だ。麻雀は今やプロリーグができるほど盛り上がっており、選手には兼業でファッションモデルをしている人もいれば、有名スポンサーがついている人もいる。20年前くらいのちょっとほの暗いイメージとはガラッと変わり、最近はおしゃれな雀荘も増えてきているようだ。学生時代に麻雀にハマり、その後離れていた層がどんどん戻ってきていて、そのような人たちに誘われて新たに始めてみる人もいて、麻雀経済圏はここ数年で拡張しているようだ。
 
私が趣味としてよく話題に出すサウナも同じような流れだ。10年ほど前までは、「熱い」「苦しい」「おっさん」のようなイメージだったが、今はクリエイティブで活力的でおしゃれな趣味という流れができている。各地に素敵なサウナが生まれたり、ただサウナに入るだけでなく、お気に入りのサウナアイテムを探したりと、サウナ経済圏も大きく広がっている。
 
最近私が面白いなと感じているのが、DJの裾野が広がっている点だ。ラッパー同士が即興で韻を踏みながらバトルするテレビ番組の影響などでジャパニーズHIP-HOPが人気を得たり、人気のトップDJによるEDM(Electronic Dance Music)が広がったりして、聴き手にとってもDJという存在が身近になってきている。

そんななかで、「GODJ Plus(ゴー ディジェイ プラス)」というA4サイズほどのポータブルDJシステムに注目したい。通常DJをするためにはターンテーブルやミキサーなどさまざまな機材が必要になるが、小型でオールインワンのものであれば初心者にとってDJを始めるハードルは大きく下がる。後継機である「FJ1(エフジェイワン)」も登場し、趣味の経済圏の裾野をますます拡張させている。
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文=中山亮太郎

この記事は 「Forbes JAPAN 2024年3月号」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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