経済・社会

2024.01.01 10:00

無人機を多用する中国、いつまで日本の空を守り切れるのか

縄田 陽介
防衛省が外務省を通じ、軽飛行機の当該国大使館に連絡を取り、撃墜するかどうかの協議を求めたが、相手国も突然のことで即答できない。一体どうしたものかと悩んでいる最中に、軽飛行機が太平洋に墜落し、この事件は終わったという。

もし、無人機が警告を無視し、そのまま日本領空に入ってきたらどうするのか。日本政府は23年2月、米国による中国スパイ気球撃墜を受け、外国機が日本の領空内に入り、「空路の安全確保や国民の生命・財産に影響を及ぼす場合」、撃墜の対象になるとし、正当防衛と緊急避難に限り認めていた武器使用条件を緩和した。浜田靖一防衛相(当時)は同月の記者会見で、無人機も撃墜の対象になると語った。とりあえず、数年前の事件の際よりも、態勢を整備したと言えるが、本当に撃墜すれば、外交問題に発展する可能性もある。

また、中国は大量の無人機を保有している。一度に無人機を多数発進させ、日本の対領空侵犯措置を混乱させることも可能だ。逆に米国防総省は23年夏、中国軍の優勢がその数にあるとして、今後数年以内に無人機や自律型システムを大量に配備する「レプリケーター・イニシアチブ」を発表した。

海上自衛隊も7月、警戒監視任務の一部を代替させる目的で検証実験を行っている無人機「シーガーディアン」を公開した。ただ、米国や中国の試みや、ウクライナの戦場でみられる無人機を使った戦術とはまだまだ開きがある。2024年の日本の空も引き続き、厳しい状況が続くことになる。

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文=牧野愛博

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