ゲームメディアは本当にPSびいき? 根拠なき「Xbox税」の主張

安井克至
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もちろん、Xboxに関する否定的な記事は何百件も存在する。だが同様に、PSや任天堂に関する否定的記事も多数ある。私はこれまでに、世に存在するほぼすべてのゲーム機メーカーやゲーム企業について、ある時点で批判的な記事を書いた。Xbox Oneの世代には、Xboxに対してかなり否定的だった。一方でXbox Series Xの発売時には、はるかに好意的な意見を持っていた。だが今年、『Redfall』がこれまでプレイした中で最悪レベルのAAAタイトルだと書いたことで、ソニーびいきのレッテルを貼られた。その後、『Starfield』に10点満点中9.5点を与えたところ、Xboxの回し者と呼ばれた。人は自分にとって都合の良い部分だけに目を向けるものであり、覚えているのはその記者が最後に書いたことか、4年前にスクリーンショットを残した見出しだけだ。

「Xbox税」にいくぶん関連するもので、私が支持できる主張が1つある。それは、Xboxの報道やプレイ時間の少なさに関するものだ。Nintendo Switchが1億台以上も売れ、PS5の販売台数がXbox Series X/Sの2倍となっている状況では、ソニーのゲームをプレイする人は単純に、より多くなる。プレイ人口が増えれば、そうしたゲームに関する記事は増え、最終的にXboxタイトルのノミネート減少などにつながる可能性はある。

これが、『Starfield』がゲーム・オブ・ザ・イヤー(GOTY)賞にノミネートされなかった理由だとは思わないが(今年はGOTY候補となる良作が非常に多かった)、『Halo Infinite』や『Sea of Thieves』が「BEST ONGOING」部門でノミネートされなかった理由としては納得できる。おそらく、ノミネーションの投票権を持つ人でプレイした人があまりいなかったのだろう。

しかしこれは、ジャーナリストが限られた時間の中でカバーするタイトルのバランスをとる必要があることと、Xboxのプレイヤー人口の低さに関係したものだ。「ジャーナリストがマイクロソフトを嫌っているので、Xboxゲームを低く評価している」ということにはならない。

「Xbox税」は存在しない。Xboxタイトルは、特にここ数年、非常に高い評価を得たものが多く出ており、2021年には批評サイト「メタクリティック」が年間最優秀パブリッシャーにマイクロソフトを選んだほどだ。そうした高評価を下してきたのは、今「反Xboxバイアス」を批判されているのと同じジャーナリストたちだ。ソニー対Xboxの問題については議論に値するものがたくさんあるが「Xbox税」はそお1つではない。

forbes.com 原文

翻訳・編集=遠藤宗生

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