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2023.11.19 12:30

Activ8大坂武史の偏愛漫画『Dr.NOGUCHI 新解釈の野口英世物語』|社長の偏愛漫画 #17

Forbes JAPAN編集部
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大坂:Kizuna AI(キズナアイ)をプロデュースしたとき、リスクを顧みず応援してくれたり、協力してくれたりした人もいましたが同時に想像を超えるほど多くの人から「できない」「やる方法がない」「やったことがあるけどダメだった」と悲観されました。日本のアニメは世界中からリスペクトされているのに、業界の多くの人たちは作品をテレビで流すビジネスモデルから離れられずにいたんです。

「ならばYouTubeでコンテンツを流せばいい。YouTubeに最適化したジャパニーズアニメーションを毎日アップしよう」と考えました。テレビアニメ制作の常識からすれば「そんなのできっこない」「それはアニメではない」と思われてもしかたありません。それでもYouTube時代のアニメーションプロジェクトを面白がってついてきてくれたごく一部の仲間がいました。そのおかげで、ローンチから3カ月後にはYouTubeのチャンネル月間登録者数世界ランキング上位5位以内に入り、YouTube史上トップレベルのスピードでチャンネル登録者数100万を達成したのです。

栗俣:まさに野口英世と重なる部分がすごくありますよね。課題に対してあきらめず、海外でトップになって、日本でさらに認められる流れもまさに『Dr.NOGUCHI』ですね。

大坂:恐れ多いですが、ありがとうございます。

栗俣:これからの展望は。

大坂:日本の人口動態を考えると、内需に依存している状態では持続的なビジネスを作り出すことは難しい。日本にはこれからの時代において世界を席巻できる産業が必要です。日本が誇るアニメ、マンガ、ゲームといったIPや、クリエイターというかけがえのない資産を適切にデジタル化の波に乗せる。そうしてデジタルエンタメ産業を日本から興すことが、日本が経済的に再興するための勝ち筋だと信じています。大変な道のりですが、野口のように不利な状況でも可能性を追い求め続け、次世代エンタメ産業を興しリードしつづける会社となるべく、仲間とともに自分が納得するまで挑戦し続けたいです。


おおさか・たけし◎1986年生まれ。Webメディアやコンテンツを開発するベンチャーで事業開発、経営企画を経験。2015年、グローバルCGスタジオ日本法人の責任者に就任。2016年9月、Activ8を創業。「生きる世界の選択肢を増やす」をMissionに掲げ、バーチャルタレント「キズナアイ」を生み出す。


【聞き手・企画協力】栗俣力也◎TSUTAYA IPプロデューサー。「TSUTAYA文庫」企画など販売企画からの売り伸ばしを得意とし、業界で「仕掛け番長」の異名をもつ。漫画レビュー連載や漫画原案なども手がける。

インタビュー=栗俣力也 文=荒井香織

この記事は 「Forbes JAPAN 2023年10月号」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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