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2023.11.06

AIブームの波に乗る半導体スタートアップMangoBoostが5500万ドル調達

(C)MangoBoost

生成AIの出現は、クラウドコンピューティングの需要を急増させ、データセンターは、その需要に応えることを迫られている。ソウルとシアトルに拠点を置くチップ設計のスタートアップMangoBoostは、彼らの後押しをしようとしている。

昨年2月に設立されたMangoBoostは、データ・プロセッシング・ユニット(DPU)と呼ばれるデータセンター用に設計された専用チップを開発している。このチップは、既存のサーバー機器の効率を高めることができると、同社の共同創業者でCEOのジャンウ・キム(Jangwoo Kim)はビデオインタビューで説明した。

「すべてのサーバーにDPUが使用されつつあることは、誰もが知っています」とカーネギーメロン大学でコンピュータ工学の博士号を取得し、オラクルのシニアエンジニアを務めていたキムはいう。「つまり、このカテゴリは巨大な市場なのです」

韓国のトップクラスのハイテク投資家も彼と同じ見方だ。MangoBoostは先月、シリーズAラウンドで5500万ドルを調達し、累計調達額は6500万ドル(約98億円)に達した。このラウンドは「韓国版アマゾン」と呼ばれるCoupang(クーパン)やゲーム大手のKrafton(クラフトン)などの出資元として知られるIMMインベストメントに加え、新韓金融グループ(Shinhan Financial Group)の一部門である新韓ベンチャーインベストメントが主導した。

キムは、MangoBoostの評価額の開示を避けたが、情報筋によると、設立21カ月の同社は約3億ドルの評価を受けたという。

MangoBoostは、昨年5月のシードラウンドでDSCインベストメントやMust Ventures、Stonebridge Venturesを含む韓国の投資家から1000万ドルを調達していた。

キムによると同社はまだ収益を上げていないが「近いうちに収益を上げ始めることになります」と詳細を語らずに述べた。彼は、MangoBoostの潜在的顧客が、クラウドコンピューティングのプロバイダーや、デルやHPのようなサーバーメーカーだと語った。サーバーメーカーは、CPUのタスクをMangoBoostのDPUにオフロードすることで、AI関連のプロセッシングに集中できるという。
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編集=上田裕資

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