『ONE PIECE』シーズン2の可能性、ヒントはリアルな海賊船セットに

安井克至

Adryan Samuel Hutagalung / Shutterstock.com

ネットフリックスが日本の名作漫画・アニメを実写化したドラマ『ONE PIECE』は、1話当たり1500万~2000万ドル(約22億~29億円)を投じて製作されたとみられている。製作費がなぜここまで膨れ上がったのか、そしてシリーズ継続のためにはなぜ第1シーズンが好成績を収める必要があるのかを疑問に思っている人のために、その答えのヒントとなるものを紹介しよう。

ネットフリックスは12日、同作にとっての撮影セットの重要性を説明する舞台裏映像を公開した。そう聞くと退屈に思えるかもしれないが、同作の事情を考えると興味深い内容だ。

『ONE PIECE』ではCGの視覚効果も多用されているが、ほんの少ししか登場しない「Missラブ・ダック号」を含め、主な海賊船のほとんどは実際に建造された。もちろん、主人公のルフィたちが乗る「ゴーイングメリー号」も、完全な船としてつくられており、将来の撮影で再使用できる。

これは、シーズン2以降が製作される可能性を考える上で重要だ。アマゾンが製作した『ロード・オブ・ザ・リング:力の指輪』でも同じだった。アマゾンは、5シーズン分の撮影に使えるような大都市のセットやコスチュームに惜しみない初期投資を行った。

『ONE PIECE』でも同じことが行われたようだ。セットや船の一部分だけを作り、残りはグリーンスクリーンで撮影すればコストを削減できただろうが、そうはせずに、すべて実物が作られた。完成したゴーイングメリー号は、最終シーズンまでずっと使える。Missラブ・ダック号のセットは、第1シーズンではあまり使われなかったが、第2シーズンではもっと活躍するだろう。

こうした実物のセットを作ることは、複数シーズンを製作する場合にはむしろ、コスト削減につながる。今後も他の面で費用がかさむことはあり得るが、これはネットフリックスがきっとシリーズ継続にゴーサインを出すだろうという製作陣の自信を裏づけるものとなる。いまある疑問は、シーズン2が全話同時配信されるのか、それともネットフリックスの人気番組で常套手段となっている、シーズン2を半分に分けて配信する方法がとられるのかということくらいだろう。

『ONE PIECE』シーズン2の正式発表は、おそらく数週間後になるだろう。だが同作は、製作陣としても、ネットフリックスとしても、長く続くシリーズを想定しているはずで、打ち切りの可能性についてはそこまで心配する必要はないように思える。

forbes.com 原文

翻訳・編集=遠藤宗生

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