演劇とお笑いをつなぐ。「ダウ90000」の頭脳、蓮見翔が描く夢

田中友梨
例えば今年の第5回演劇公演「また点滅に戻るだけ」は、蓮見の高校生時代の思い出を下地にしたストーリーだった。舞台上にプリクラ機を2台設置し、誰しもが学生時代に通ったことのあるゲームセンターを彷彿とさせるセットで、男女8人の会話劇が展開された。

巧みな演出力も、蓮見が評価されるポイントのひとつだ。

台詞の言い回しや表情、仕草なども細かく指示する。ただ、演出で皆を“動かしている”という感覚はないという。「普段の話し方のクセや喜怒哀楽の起伏に、できるだけ忠実になるように指示しています。さっきまでその辺を歩いていた人がそのまま舞台上で話している、みたいな空気感が好きなんですよね」

ダウ90000の公演には、演劇とお笑いの両方のファンが訪れる。蓮見が目指す「演劇への入り口を広げ、お笑いのお客さんを演劇の方に引きこみたい」という目標は、少しずつ達成されているようだ。

「まずは近いうちに、地方公演を開催したい。それから、遠い未来かもしれませんが、自分たちの劇場を持ちたいです」

創作への情熱が尽きることはない。
ジャケット25300円、シャツ15400円、パンツ14300円(すべてアウール/阪急メンズ大阪︎ tel:06-6313-9889)

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はすみ・しょう◎1997年4月8日生まれ。東京都出身。ダウ90000主宰。コントや演劇、ドラマの脚本・演出を手掛ける。2020年9月、日本大学芸術学部出身のメンバーを中心に、男女8人組「ダウ90000」を結成し、翌年「M-1グランプリ2021」の準々決勝に進出。第2回演劇公演「旅館じゃないんだからさ」では、岸田國士戯曲賞の最終ノミネートにも残った。2022年2023年ABCお笑いグランプリでは2年連続決勝進出を果たし、演劇やコントなど幅広く注目を集めている。また、JFN系列「AuDee CONNECT」では水曜日のレギュラーパーソナリティを務め、ダウ90000初のレギュラー番組「週刊ダウ通信」がテレビ朝日にて放送中。

文=堤美佳子 取材・編集=田中友梨 写真=帆足宗洋(AVGVST) スタイリング=千葉 良(AVGVST) ヘアメイク=KUNIO Kataoka(AVGVST)

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