「PS5 Slim」とされるリーク動画、実は薄型ではない新モデルの可能性

安井克至

ソニーのPlayStation 5(mkfilm / Shutterstock.com)

ソニーが開発中の新型ゲーム機「PlayStation 5 Slim」とされる動画がこのほど、インターネット上で拡散した。

動画はX(旧ツイッター)のユーザー「@BWE_dev」が最初に投稿したもので、中身のないケースのみを映したものとみられる。中央部分に特徴的な線が入っているが、基本的なデザインはPS5と同じだ。ただ、多くの人がコメントしているように、もしこれが本当に「PS5 Slim」であれば、スリムと呼べるほど薄くはないように見える。

それもそのはず、この動画に映っているのはおそらく「PS5 Slim」ではない。とはいっても、3Dプリンターでつくられたフェイクだとも限らない。PS5の新型モデルについてしばらく前から報じてきたゲームジャーナリストのトム・ヘンダーソンは、動画に映っているのは取り外し可能なディスクドライブを搭載した新型PS5だとみている。

ヘンダーソンによると、新型モデル開発の目的は薄型化ではなく、製造・配送コストの削減だ。現在のディスクドライブ搭載モデルとデジタル・エディションの2モデルを置き換えるものかはわからないが、機能的にはそれも可能なように思われる。

ケース中央の線は、ドライブの取り外しを容易にする仕組みの一部とみられる。ゲーム業界ではデジタル化が進んでおり、デジタル版ソフトの販売比率が年々高まっていることを考えると、この方向性は理にかなっている。現世代ではまだディスク版とデジタル版が共存しているが、次世代ゲーム機でもディスクドライブが生き残ったとしたら、少し驚きだ。

PS5関連のそのほかのハードウエアとしては、携帯ゲーム機の「Project Q」が発表されている。これは、PS5のコントローラーの中心部分にスクリーンを挟み込んだような端末で、PS5にインストールしたゲームを遠隔でプレイできるものになる。

前世代の「PS4 Pro」と同様に、PS5の性能を強化した「PS5 Pro」も開発が進んでいるようだが、発売はまだ先とみられ、今回の動画に映っているモデルとは違う。「PS5 Pro」のスペックは判明しておらず、発売時期は2024年後半ともうわさされている。ただ「PS5 Pro」に関する公式発表は一切ない。

一方、マイクロソフトの「Xbox」では、性能強化版モデルは開発されていないようだ。同社はその代わり、サブスクリプションサービスの「Game Pass」とクラウドゲームに特化した小型かつ安価なストリーム端末に注力しているとうわさされている。これも公式発表はないが、マイクロソフトのゲーム部門を率いるフィル・スペンサーが最近公開したビデオの背景には、ストリーム端末の古い試作機とみられるものが映り込んでいた。

PS5は現在、奇妙な状況に置かれている。約2年間にわたり続いた供給不足がようやく解消され、今では飛ぶように売れている。ソニーの現在の目標はおそらく、ディスクドライブ脱着式の新型モデルによってコストを抑え、高い利ざやで多く売ることにあるのだろう。

そうだとすると、1つの疑問が浮かぶ。ディスクドライブをなくすことは、消費者にとって何かメリットがあるのだろうか? 何か見逃している点がないかぎり、筆者にはメリットが思い浮かばない。

forbes.com 原文

翻訳・編集=遠藤宗生

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