AIブームで韓国「ハンミ半導体」CEOが最新のビリオネアに

(c)Hanmi Semiconductor

韓国の半導体製造装置メーカー「ハンミ半導体(Hanmi Semiconductor)」の株価は、サムスン証券の強気のレポートを受けて、7月13日以降に約56%急騰した。これを受け、同社の郭東信(クァク・ドンシン)CEOは韓国の最新のビリオネアとなった。

現在48歳のクァクはハンミ半導体の筆頭株主であり、35.5%の株式を個人名義で保有している。彼は、コスダックに上場する半導体製造装置会社HPSPの約9.3%の株式も保有している。フォーブスはクァクの保有資産を17日の終値ベースで14億ドル(約1940億円)と試算している。

仁川を拠点とするハンミ半導体は、チップ製造の最終段階の1つである半導体パッケージングに使用される装置を製造している。同社は、サムスン電子やSKハイニックス、ASEを含む320社以上の顧客を抱えている。

サムスン証券のアナリストは、13日に発表したレポートの中で、最先端のパッケージング技術が「半導体の性能を向上させるための鍵になりつつある」と述べ、HBM(高帯域幅メモリ)の旺盛な需要がハンミ半導体の収益を強化すると予想した。ハンミ半導体の株価はその日のうちに30%上昇した。

HBMは次世代タイプのDRAMで、人工知能(AI)システムでの使用をターゲットとしている。ハンミ半導体は第1四半期報告書で、同社の製品の1つであるTSV TCボンダーが「ChatGPTを実装するためのHBMチップ製造の重要な装置であり、HBMの需要増加の恩恵を受けることが期待される」と述べた。

TSV TCボンダーの需要の増加は、他の半導体企業と同様にインフレとマクロ経済からの打撃を受けたハンミ半導体にとって歓迎すべきことだ。同社の今年第1四半期の売上高は前年同期比58%減の265億ウォン(約29億円)、営業利益は90%減の20億ウォンだった。

ハンミ半導体は、1980年にCEOのクァク・ドンシンの父で元モトローラのエンジニアのクァク・ノグォンによって設立され、2005年に韓国証券取引所に上場した。今年85歳になるノグォンは現在、同社の会長を務めている。

クァク・ドンシンは、アジアの半導体分野で財を成した最新のビリオネアとなった。この地域の他の半導体分野の富豪には、台湾のTSMCの創業者のモリス・チャンや、同じく台湾のメディアテックの蔡明凱らがいる。また、東京に本社を置く半導体検査装置メーカー、レーザーテックの創業家である内山一族は、2021年のフォーブスの日本の富豪50人リストに初登場した。

forbes.com 原文

編集=上田裕資

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