AI

2023.06.16 08:30

Box共同創業者が語る、「AIが掘り起こす社内に眠る宝」

──「企業データの80%が非構造化データ」と話していますね。だとすれば、企業は“宝の山”の上に座っていることになります。Box AIを使うことで、サイロ化された部署間で盲点になっている情報を可視化して、じつは社内に眠っている情報を掘り起こすことにあるのでしょうか。
 
その通りです。企業のコンテンツの中には、重要で価値のある情報が含まれています。それは、契約書やプロジェクトについての詳細かもしれません。プロジェクト文書の中にあるもの。あるいは、重要なビジネス戦略の情報かもしれません。このような非構造化データをファイルとして保存し、AIプログラムによってそのデータと“対話”したり、“質問”したり、重要な情報を抽出したりできるようになるのです。これはとても強力なことだと思います。
 
仮にBox AIを使った場合、企業のユースケースの一つに、大量の非構造化データがあります。例えば履歴書のワード文書があるとしましょう。このファイルの中に多くの重要なデータがあるのです。まず、電子メールアドレスがあります。それに、電話番号や住所、学歴など。歴史的に見ても、こうしたデータを自動的に抽出する簡単な方法はありませんでした。でもBox AIで「メタデータ、名前、電子メールアドレスを抽出してください」と言えば、即座に価値の高いデータを抽出できるようになります。
 
どんなユースケースにでも使えることがおわかりでしょう。履歴書だけではなく、請求書や契約書など、AIに情報全体を読ませて、その内容から重要な詳細を引き出せます。信じられないほど強力なものです。これこそが、このテクノロジーの未来のかたちだと私たちは確信しています。

Boxが現在、開発中の「Box AI」。AIで“社内の眠れる宝”を掘り出せるとの期待も。 Courtesy of Box

Boxが現在、開発中の「Box AI」。AIで“社内の眠れる宝”を掘り出せるとの期待も。 Courtesy of Box


──Boxは「ベスト・オブ・ブリード」戦略を追求してきました。ただ、AIを使ってコンテンツを活用するサービスは、同じようにコンテンツ管理サービスを提供するマイクロソフトやグーグル、あるいはセールスフォースと競合することを意味します。実際、いずれも自社サービスに AI機能を搭載しています。リード(見込み顧客)を探り当てる機能などは、セールスフォースのような顧客管理プラットフォームとの“衝突”待ったなしのように思えますが。
 
どちらかといえば、それらの企業と提携することがほとんどでしょう。セールスフォースやマイクロソフト、アマゾンなどのテクノロジー企業と競合することは、あまり考えていませんよ。それよりも、データを使ってAIと連携する強力なパートナーになることに重点を置いています。

──創業以来、Boxはファイルストレージ企業からファイル共有企業、クラウドベース・コラボレーション企業、コンテンツマネジメント企業というように、一般的なユーザーからの見えかたも変わってきたように思えます。AI新時代では、自社をどのように位置づけて他社と差別化したいとお考えですか?
 
企業データの80%は非構造化データです。この非構造化データを管理する場所として、Boxが地球上で最も優れた場所の一つであると確信しています。契約書、マーケティング資産、請求書、履歴書など、あらゆるものがそうです。AIを使えば、そのようなデータや情報に対して“質問”できるようになります。私たちは、これがデータ活用のブレークスルーになると確信していますし、Boxはそのようなデータ活用に最適な場所の一つです。
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文=井関庸介 写真=ボックス提供

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