時計

2023.06.03 18:00

IWC「インヂュニア」の歴史を手に入れる

革命的な存在として誕生した時計は、どれだけ時間が経過しても価値を失うことはない。それどころか、ヴィンテージウォッチとして高い評価を得るようになる。

エンジニアのための耐磁ウォッチとして生まれたIWC「インヂュニア」は、今年の新作として「インヂュニア・オートマティック 40」が発売されたことによって、過去のモデルにも注目が高まっている。そこでIWCはミュージアム級の歴史的モデルを集めた特別なイベントの開催を決定。しかもその一部を購入できるというから驚きだ。


耐磁時計×天才デザイナー=世紀の傑作

機械式時計にとって、磁気は大敵である。時計を動かすムーブメントには多くの鉄製パーツが使用されているので、強い磁気に曝されるとパーツが磁化して正しく動かなくなるのだ。特に放射線や電気関係の仕事をしているエンジニアは、仕事現場が強い磁気を発する場所であるため、常にこの時計の磁気帯びに悩まされてきた。

そこで生まれたのが、磁気を通さない軟鉄でインナーケースを作り、ムーブメントをカバーする耐磁時計。IWCでは1955年に「インヂュニア」をリリース。IWCのエンジニアリングの象徴となった。特に1976年に誕生した「Ref.1832 インジュニアSL」は、時計界のピカソと称された天才デザイナーのジェラルド・ジェンタがデザインしたとあって、非常に高い評価を受けている。

キャプ〜キャプ〜

左/Ref.666ADとよばれる初代「インヂュニア」。日本用の広告は日本の伝統がテーマ。右/ジェラルド・ジェンタがデザインした「Ref.1832 インヂュニアSL」。10年間で848本しか生産されなかった。

インヂュニアの進化は、歴史の積み重ね

今年はこのRef.1832のデザインコードを継承しながら、慎重にアップデートした「インヂュニア・オートマティック40」がリリースされたことで、オリジンへの注目はさらに高まっている状況だ。

そんな折、過去のインヂュニアの傑作たちを一堂に会する限定イベント「インジュニア・ヴィンテージ・ウォッチ」が開催される。会場は、6月5日から7日が「IWC 新宿ブティック」で、6月9日から11日までが「IWC大阪うめだ阪急ブティック」。展示されるのは伝説の始まりとなった1976年製の「Ref.1832 インヂュニアSL」と、そのゴールドモデルとして55本のみ製造された1978年製の「Ref.9232 インヂュニアSL」。コンビケースの1980年製「Ref.3303 インヂュニアSL」、防水性と耐磁性を備えた唯一の懐中時計である1983年製「Ref5215 インヂュニアポケットウォッチ」、耐磁性能をアップした1989年製の「Ref.IW350808 インヂュニア 500000 A/M」、そして34㎜モデルの1985年製「Ref.IW350611 インヂュニアSL」など、ミュージアムピース級の傑作が勢ぞろい。さらに2000年代以降の現代版インヂュニアも含め、合計9モデルが用意され、耐磁時計インヂュニアの進化の過程を知ることができる。
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edit by Akira Shimada / text by Tetsuo Shinoda

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