高いデザイン性と優れたディテール
新しいインヂュニアには、もう一つ美点がある。それが優れた外装だ。クリスチャン・クヌープはこう語る。「1976年のインヂュニアには、ベセルを固定するための穴が、微妙にずれていることがありました。ケースの設計上やむを得なかったのですが、デザイナーとしてはちょっと許容できない。そこで、新しいインヂュニアではケースの構造を見直し、穴の位置が正しく収まるようにしています」。また彼はこうも語る。「76年のインヂュニアは、ケースやブレスレットを筋目のつや消しで仕上げていました。対して新作では、ポリッシュを加えています」。似たようなデザインながら、新しいインヂュニアが、明らかに高級時計然とした仕上がりを持つ理由だ。加えて、ブレスレットのコマも、左右の無駄な遊びが小さく、いかにも上質な手触りを持つ。もちろん、このブレスレットも、IWCではお馴染みの、すべて分解できるものだ。
CEOのグランジェ・ヘアは新しいインヂュニアをこう説明した。「これは完璧なケースプロポーションと人間工学に基づいた、高いデザイン性、そして優れたディテールを合わせ持つ、21世紀の多機能なラグジュアリースポーツウォッチなのです」。
かつてエンジニア向けだったインヂュニア。しかし、IWCはそのユニークなデザインを復活させただけでなく、最新の技術で、今のスポーツウォッチに昇華してみせた。しかも、耐磁性と言う独自の特徴はそのままに、である。性別を問わず、どこでも使える耐磁度計を探している人ならば、新しいインヂュニアは文句なしにお勧めできる。
CEOが語る、IWCの未来とインヂュニア
CEOのクリストフ・グランジェ・ヘアは新しいインヂュニアをこう語った。「IWCには150年を超える伝統がある。そして機能的なデザインを得意としてきた。新しいインヂュニアとは、機能的で純粋、かつ控えめで見やすい時計になっている。またこのモデルは、インヂュニアのレガシーである統合されたブレスレットなどを備えており、デザインはタイムレスだ。
ちなみにIWCは男性・女性とモデルを分けていない。というのも、性別を問わず使ってもらえるようなモデルになっているからだ。これはスニーカーに全く同じだ。弊社は新しいインヂュニアは、誰でも使える時計を考えている。男性はもちろん、女性にも気に入ってもらえるはずだ」。
【インヂュニア オートマティック 40】
ムーブメント｜自動巻き Cal.32111
ケース素材｜ステンレス
ケース径｜40mm
厚さ｜10.8mm
価格｜156万7500円
問い合わせ｜IWC／IWC 0120-05-1868
ジェラルド・ジェンタ◎1931年スイス生まれ。2011年逝去。オーデマ ピゲ「ロイヤル オーク」、パテック フィリップ「ノーチラス」、IWC「インヂュニア」などのデザインを手がけた。また彼の設立したジェラルド･ジェンタ社は、80年代から90年代にかけて、グランソヌリなどの複雑時計を数多くリリースした。
クリストフ・グランジェ・ヘア◎IWC CEO 1978年、ドイツ生まれ。ロンドン芸術大学などを卒業した後、建築家としてキャリアを積む。2006年、IWCに入社。IWCミュージアムの設計や、IWCとロジェ・デュブイのリブランディングに携わった後、2017年から現職。就任後、
クリスチャン・クヌープ◎1970年ドイツ生まれ。NPKデザイン、フロッグデザイン、フィリップスデザインでインダストリアルデザインやブランドのコンサルタントなどを担当する。2008年から現職。時計のデザインだけでなく、什器やカタログなどにも携わっている。
