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2022.10.23 19:00

ポジティブな「不自由」が自由な発想を生む。不自由で自由をつくる

Forbes JAPAN編集部
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公立の小学校や企業の小学生向けイベントで、この教材を使って授業を実施したところ、ユニークなテーマが続々誕生している。 「誰も知らなかった般若心経の不思議」「目をつぶった時に見える模様のナゾ」「日本のまっくら物語」などなど。いままで数百人の子どもたちがテーマをつくってきたが、ひとつも同じテーマになったことはないし、どれもその子らしさがあって面白い。

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ワークショップにて自由研究のテーマ発表会。ユニークなテーマの数々に笑いが生まれる。

世界に目を向けてみよう。OECD(経済協力開発機構)が進めているEducat ion 2030 プロジェクトのなかで、これからの子どもたちには「Agency(エージェンシー)」が必要だといっている。エージェンシー? 代理店? と思う方もいるかもしれないが、ざっくりお伝えすると「正解のない問いでも主体的に熟考し答えを導き出し行動する力」のこと。

この正解も解き方もない問いに立ち向かうとき、ポジティブな意味の「不自由」な制約を自らつくり出すことで考える視点を明確にして発想を絞り出す方法は、これから必要なスキルと言えるかもしれない、と大げさにも真剣に思っている。

ビジネスにおける「不自由」の可能性


制約を活かした表現やサービスはたくさんある。古くは、たった17文字の俳句。4つの絵でのみ物語をつくる4コマ漫画。100円のものだけを売る100円ショップ。140文字のTwitter。お笑いでは定番のお題「写真で一言」も。制約こそが、独創的な作品や商品を生みだしているのではないか。

リアルなビジネスの場面で想像してみたい。例えば、新規事業のアイデアを考えるとき。「自由に考えよう!」となったものの、「自由」に途方に暮れてしまったら……。まずは自分たちの興味や意志、目指す価値のタネを徹底的に集めてみる。そこにどんな魔法の制約をかけると自分たちらしいアイデアを思いつきそうか? つまり「不自由」をつくるところから考えてみるのはどうだろう。

ちなみに、このメソッドを使って「ポジティブな不自由研修」と称した、新規事業や起業のアイデアを考えるワークショップも開催中。自由が苦手な方、ご連絡お待ちしています。

本連載で発表しているすべてのコンセプトは、実際にビジネスに取り入れられるよう、講演や研修、ワークショップとしても提供しています。ご興味ある企業の方は、Forbes JAPAN編集部までお問い合わせください。


電通Bチーム◎2014年に秘密裏に始まった知る人ぞ知るクリエーティブチーム。社内外の特任リサーチャー50人が自分のB面を活用し、1人1ジャンルを常にリサーチ。社会を変える各種プロジェクトのみを支援している。平均年齢36歳。合言葉は「好奇心ファースト」。

舘林 恵◎コピーライター。電通Bチーム内の「アクティブラーニングこんなのどうだろう研究所」所属。大学時代に「ピタゴラスイッチ」の企画・制作に参加。広告をつくりながら、発想に関する授業を開発&実施している。

文=舘林 恵

この記事は 「Forbes JAPAN No.096 2022年8月号(2022/6/24発売)」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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