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2022.05.08

「EV救急車」で医療を変える米ヘルスケア企業DocGoの挑戦

(c)DOCGO

米国のモバイルヘルスケア企業の「DocGo」は、テクノロジーの力でパンデミックを乗り越えてきたが、先日は新たに電動式の救急車を発表した。

「当社のEV(電気自動車)救急車は、間もなくニューヨークで患者の搬送を開始する。この車両が排出する汚染物質は、ガソリン式の救急車の10分の1で、ゼロエミッションへの第一歩となる」と、DocGoのアンソニー・カポネ社長は述べている。

同社は現在約100台の車両をニューヨークで保有し、ロサンゼルス、フィラデルフィア、ナッシュビルなどの都市でも事業を展開している。さらに、カナダやイギリスにも進出し、英国ではNHS(国民保健サービス)と連携している。

DocGoのEV救急車は米国ではフォードの、英国ではルノーのバンタイプの車両を医療用に改造したものだ。サプライチェーンの問題を受けて改造はやや遅れをとっているが、今後1年から1年半の間に、この問題は解消されると同社は考えている。

パンデミックの間に、競合の救急車のオペレーターの多くが事業の閉鎖に追い込まれたが、DocGoはテクノロジーの力で救命士が対応できるコール数を最大化し、より多くの利益を得ることができた。ガソリンや軽油の価格が高騰している今、EVへのシフトは会社の使命であるだけでなく、理にかなっているとカポネは言う。

DocGoが英国のある都市の救急車の入札に参加した際、現地の当局は、電気自動車を使用している同社に好意的スタンスを示し、提案プロセスを簡略化してくれたという。

しかし、1つだけ難点があるとカポネは指摘する。それは、EVの航続距離がまだ限られていることで、例えば、テキサス州のような広大な土地では、オペレーションが難しい。今後は、充電所の整備が進み航続距離が伸びる中で、EV救急車が全米レベルで普及するかもしれない。

編集=上田裕資

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