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2022.05.07

カナダの香水企業が「生理の貧困」と闘う理由

(c)The 7 Virtues

カナダの香水企業ザ・セブン・バーチューズ(The 7 Virtues)の創業者バーバラ・ステグマンにとって、企業経営で大事なことが金もうけだけだったことは一度もない。事業立ち上げから何年も、個人的な報酬は受け取らなかった。彼女にとって利益とは、公平な社会を実現する手段だ。

ステグマンが10年以上前に同社を立ち上げた時、人や環境などに優しい美容品を指す「クリーンビューティー」という言葉は一般的ではなかった。その商品は現在、米国やカナダのセフォラ店舗で販売されている。同社とその主力商品が生まれたきっかけは、紛争下で新たな収入源を探していたアフガニスタンの農家だった。事業領域はその後拡大し、世界中の材料を扱うようになった。

最初に使用したのは、アフガニスタンの農家が生産するオレンジブロッサムとバラのオイルで、これは同社のキャッチフレーズ「Make Perfume, Not War(戦争ではなく香水を作る)」の誕生にもつながった。現在は、ルワンダやハイチ、インドなど世界各地の農家に利益を生むよう厳選したパチョリやジャスミン、ベチバーなど使い、さまざまな香りの香水ラインを展開している。

そんな同社の今年の新商品が、「ロータス・ペア(Lotus Pear)」だ。女性をたたえ、あまり注目されない「生理の貧困」問題に光を当てるため作られた。他の商品と同様、フェアトレードの有機エッセンシャルオイルを使用している。

 ロータス・ペアは、事業を進める中で世界の女性が日々直面する問題を知ったステグマンにとって、象徴的な商品だ。米非営利団体デイズ・フォー・ガールズ(Days for Girls)と提携し、売り上げはネパールの約700人の少女や若い女性に対する支援と生理用品の提供に使われる。

「世界の女性たちが生理中、単純なリソースも手にできていないということに、私は正直驚いた」とステグマン。「現代にあっても、こうした基本的なものをいまだに得られずにいる」

デイズ・フォー・ガールズから話を聞いたステグマンは、この問題に取り組むことを決めた。現在の支援対象はネパールの女性だが、将来的には拡大する意気込みで、「これはただの始まりに過ぎない」と語る。
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編集=遠藤宗生

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