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2022.03.30 11:30

衛星分野の連続起業家、OneWeb創業者グレッグ・ワイラーの挑戦

Getty Images

衛星スタートアップ「E-Space」は、地球低軌道に衛星を打ち上げ、メッシュネットワークを構築することに取り組んでいる。同社は3月21日、最初の試験衛星3基を今年後半に打ち上げる計画を発表した。

「我々は、相互に接続可能なシステムを構築しようとしている」とE-Spaceの創業者でCEOのグレッグ・ワイラーは述べている。

ワイラーは、衛星分野の連続起業家として知られている。彼は、2007年に「O3B Networks」を設立し、20機の衛星からなるコンステレーションを構築後、2016年にルクセンブルグの通信会社SESに売却した。さらに、2012年にはスペースXのスターリンク(Starlink)の競合である衛星インターネット企業「OneWeb」を設立した。OneWebの評価額は、ピッチブラックによると約30億ドル(約3700億円)に達している。

E-Spaceの衛星コンステレーションは、ワイラーのこれまでの取り組みとはやや異なっている。例えば、E-Spaceはゲートウェイを使わず、ピア・ツー・ピアで通信を行う。また、顧客はゼロ・トラストのセキュリティ・トポロジーに基づいた、自己主権型ネットワークを構築できる。

「この仕組みはコストを削減できるだけでなく、ポイント・ツー・ポイントのため、セキュリティも向上する」とワイラーは述べている。

彼によると、E-Spaceはサステナビリティを念頭に置いて衛星を設計しており、軌道を飛行中に小さなスペースデブリ(宇宙ゴミ)を捕獲できるという。捕獲したデブリが一定量を超えると、衛星は軌道を外れ、大気圏で燃え尽きるようプログラムされている。

E-Spaceは、ロサンゼルスに本拠を置くRocket Labの「エレクトロン(Electron)」ロケットを使って2022年第2四半期にニュージーランドの発射場から3基の衛星を打ち上げる予定だ。同社は、衛星が軌道に投入された後、通信性能や制御性、操縦性をテストするほか、衛星がソフトウェアを更新して性能を最適化できるかを試すという。

「グレッグ(ワイラー)とは長年の知り合いであり、彼とは強い絆がある。この取組みは、顧客と早い段階から計画を練り、共に発展していくことができる良い事例だ」とRocket LabのCEO、Peter Beckは述べている。

ワイラーは、このプロジェクトに向けて衛星の開発と製造を早期に行えたことに満足している。E-Spaceは2021年に設立され、フランスのトゥールーズに本拠を置いている。同社は先月、Prime Movers Labが主導するラウンドで5000万ドル(約61億円)のシード資金を調達している。調達した資金は、最初の2回の打ち上げに用いる予定だ。

「我々は、衛星のコストを大幅に削減することで、異例の速さで開発を行い、設計から開発、打ち上げまでを非常に短期間で行うことができる」とワイラーは述べている。

編集=上田裕資

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