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2022.01.02 16:00

米国のEバイクブームを牽引する25歳起業家のスタートアップ

Lectric eBikesの創業者レビ・コンロウ(左)とロビー・デジエル(右)/ (C)Lectric eBikes

Eバイク(電動自転車)のスタートアップ「Lectric eBikes」の創業者であるレビ・コンロウ(Levi Conlow)とロビー・デジエル(Robby Deziel)は、幼少期からの友人だ。2人はコンロウの父親から資金提供を受けて、2018年に同社を設立してEバイク業界に参入した。

それから3年が経ち、Lectric eBikesはEバイク業界で最も成長スピードの早いスタートアップとなった。

現在25歳の2人はアリゾナ州フェニックスでLectric eBikesを設立した。同社は、高品質で耐久性のあるEバイクを、1000ドル以下でダイレクトコマースで販売している。この価格は、TrekやGiant、ヤマハなどの大手と比べて格段に安い。

CEOのコンロウは、大学時代に電動スケートボードを販売した経験があり、Lectric eBikesでも営業とマーケティングを担当している。チーフ・イノベーション・オフィサーを務めるデジエルlは、最初のモデルのデザインと設計を担当した。

「我々がこの業界に参入したきっかけは、私の父親がEバイクを欲しがっていたことだ。当時、Eバイクの平均価格は3000ドルだった。我々は、ダイレクトコマースで販売し、コストを抑えることで、格段に安い価格で提供できることがわかっていた」とコンロウは話す。

コンロウの父親は、退職後の蓄えを取り崩して、会社の立ち上げに必要な資金4万ドルを提供した。しかし、最初に製造したモデルは全く売れず、彼の賭けは失敗に終わったように思われた。「最悪の事態だった。我々は、父のお金を使い切り、彼の退職後の生活を台無しにするところだった」とコンロウは当時を振り返る。

その後、2人は問題点を探るため、スタイルや機能、素材などについてユーザーからフィードバックを集めた。そして、新型の「XP」を設計した。しかし、製品を製造するためには、父親からさらに資金を提供してもらう必要があった。

「私は父に、あと1万ドル失う気があるか尋ねた。父は、その時点で退職後の計画が台無しになったことを悟っていたので、追加で1万ドルを出資してくれた」とコンロウは言う。

しかし、それを契機にLectric eBikesは復活を遂げた。

2019年には、月間1〜2台しか売れなかったのが、翌年には1月あたりのXPの売り上げが200万ドルに達したのだ。そして2021年10月には累計販売台数が10万台を突破した。コンロウによると現在の年商は8500万ドル(約96億円)に達し、2022年には倍増する見通しという。
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編集=上田裕資

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