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2021.09.03 17:00

イーロン・マスクと共和党のテキサス州知事の「微妙な関係」

イーロン・マスク(Win McNamee/Getty Images)

テキサス州のグレッグ・アボット知事は、テスラとスペースXのCEOであるイーロン・マスクが同州の政策を「気に入っている」と発言した。同州では、有色人種の投票を阻害すると批判される投票制限法の可決や銃規制の緩和に続き、全米で最も厳しい中絶禁止法が施行されたことで、テクノロジー業界の一部から反発の声が上がっている

アボット知事は9月2日のCNBCの番組で、テキサス州が近年、トヨタやアップルなど多くの大手企業を誘致していることにふれ、今後もこの傾向が加速していくと述べた。

知事は、マスクが2020年にテキサス州に移住し、オースティンにテスラの新工場を建設中であることを引き合いに出し、同州の政策が、企業にとって非常に魅力的だと話した。スペースXも現在、テキサス州南部のボカ・チカにある「スターベース」で打ち上げと製造のオペレーションを拡大している。

「イーロンがカリフォルニアを離れなければならなかったのは、カリフォルニア州の政策のせいでもある」と知事は述べ、マスクと頻繁に話していることを明かした。知事はさらに、「イーロンは一貫して、テキサス州の政策が好きだと話している」とインタビューで話した。

マスクは、3日未明のツイートで、アボット知事の発言には直接ふれずに、次のように述べた。「私は、政府が国民に自分の考えを押し付けるべきではないと考えており、仮にそうするのであれば、国民の幸福を最大化することを目指すべきだと考えている。とは言うものの、私は政治には関わりたくない」

大卒労働者のテキサス州離れ


テキサス州は、特にカリフォルニア州などと比較して、税金が安く、規制が緩いことで、大手企業の有力な移転候補先になっている。しかし、共和党員であるアボット知事やテキサス州の議会が推進する物議を醸す政策が、テキサス州の魅力を低下させてしまう懸念が生じている。

特に、新たに導入された中絶を禁止する法律は多くの人々の反発を受けており、PerryUndemの最新の世論調査によると、大卒労働者の66%が、テキサス州のような規制がある州では働きたくないと回答した。

アボット知事は、中絶禁止法のほかにも、21歳以上の住民が訓練や免許なしで拳銃を携帯できる法律に署名し、公立学校が生徒にマスクの着用を義務付けることを阻止したほか、時事問題や人種差別に関して公立学校の教師が議論できる内容を制限しようとしている。

マスク自身はロサンゼルスからテキサス州に移住したが、テスラの最大の工場は今もカリフォルニア州フリーモントにあり、スペースXの本社も、今のところはカリフォルニア州ホーソンにある。

昨年のパンデミックの発生当初、マスクはカリフォルニア州の保健当局がフリーモント工場の操業を制限したことに激怒し、決算説明会でその措置を「ファシスト」と呼ぶなどの暴言を吐いていた。テスラは2020年5月にこの制限についてアラメダ郡を提訴したが、その後、取り下げていた。

マスクは、政治には関わりたくないと言うものの、必ずしもそうとは限らない。彼は、ドナルド・トランプが2017年に創設したビジネス協議会に参加したが、トランプが米国をパリ協定から離脱させた後の2017年6月にこのグループを脱退していた。

また、マスクは8月にベルリンのギガファクトリーを訪れた際に、9月の総選挙でドイツの次期首相を目指すアルミン・ラシェット議員と面談していた。ベルリン工場の建設は完了した模様だが、その稼働については当局からの承認が得られてない。

編集=上田裕資

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