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2021.03.22 16:30

米LiDAR企業ルミナー、上海汽車に自動運転テクノロジー供給へ

Getty Images

シリコンバレー本拠のLiDARメーカー「ルミナー(Luminar)」は、上海汽車集団(SAIC Motor Corp.)のEVブランド「R」向けにセンサーとソフトウェアを供給すると発表した。

ルミナーの創業者で現在26歳のオースティン・ラッセルは、世界で最も若いセルフメイドのビリオネア(遺産相続などではなく、自力で資産10億ドルを突破した者)だ。同社のテクノロジーを搭載した車両は、来年販売される予定で、高速道路での自動運転が可能だという。

ルミナー製のLiDAR「アイリス(Iris)」は、Rブランド車両のルーフに搭載される。同社のソフトウェア「センチネル(Sentinel)」も搭載され、都市部での運転で安全機能が自動化されるほか、高速道路では自動運転が可能になるという。

ルミナーによると、生産される車両は、中国初の自動運転技術を搭載した量産車だという。同社は、上海汽車との共同事業を推進するために、中国オフィスを設立する。今回の提携における金銭的な条件は明らかになっていない。

「我々にとって、中国進出は今回が初めての試みだが、今後も挑戦を続ける予定だ。ビジネス面では、上海汽車との提携は、ボルボとの提携以来、最も大きな出来事だ」と、ラッセルCEOは述べた。

ルミナーは、2020年5月にボルボ・カーズと提携し、ボルボ・カーズが2年後に投入予定の自動運転車にセンサーとソフトウェアを供給すると発表した。同社は、ダイムラーのトラック部門やインテル傘下のモービルアイとの提携も発表しており、来年から大幅な収益増が期待されている。ナスダックに上場するルミナーは、3月18日に上場後初めての四半期決算を発表し、2020年末時点の潜在的な受注高が13億ドル(約1400億円)相当であることを明らかにした。この金額には、上海汽車との提携は含まれていない。

LiDARは、昼夜を問わずに車両の周囲を3D画像で確認することを可能にし、自動運転車には欠かせない技術となっている。業界における初期のリーダーだったベロダイン(Velodyne)のLiDARは回転式で、複数のレーザーを照射することで精緻な点群マップを生成する。

低コストで省電力なLiDAR


これに対し、ルミナーの製品はシングルレーザーで、より低コストで省電力なのが特徴だ。LiDARは、デジタルカメラやレーダー、コンピューティングシステムと並んで、自動運転を実現する上で主要なハードウェアだ。ルミナーによると、同社製品であるアイリスは、高速で走行中の車両が250メートル先の物体を検知できるという。価格は生産量に応じて500〜1000ドルになる見込みだ。

「我々の新ブランドであるRラインの車両は、ラグジュアリーと快適性を併せ持ち、最高水準のテクノロジーを搭載している。自動運転機能は、我々のビジョンを実現する上で、中核を成すものだ。ルミナーは、我々が提携先として真剣に検討した唯一の企業だ。同社は、LiDARのハードウェアとソフトウェアにおいて、他の追随を許さない技術を有しており、我々のビジョンの実現を可能にしてくれる」と上海汽車のバイスプレジデントであるYang Xiaodongは述べた。

ラッセルによると、上海汽車とボルボ・カーズ向けのLiDARは、メキシコにある同社の契約工場で生産されるというが、製造企業の名前は明らかにしていない。

ルミナーの2020年の売上高は、1400万ドルだった。主な収益源は、自動運転テスト向けのLiDARセンサーの販売だという。同社は、2021年に受注高を40%増やし、売上高を2500万〜3000万ドルに増やすことを目標にしている。

フォーブスの推計によると、3月18日時点のラッセルの資産額は28億ドルで、その大半はルミナーの株式だ。

編集=上田裕資

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