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2015.05.04 11:08

CINEMA『グッド・ライ~いちばん優しい嘘~』それでも希望を失わない 難民孤児たちの物語

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1983年に起きた第二次スーダン内戦は、国を南北に分断し、約190万人の死者と、約2万人の孤児を生みだした。居住地を追われ、難民となった彼ら孤児は、周辺国の難民キャンプでこう呼ばれることになる。スーダンのロストボーイズ。この『グッド・ライ~いちばん優しい嘘~』は、そんなロストボーイズたちの実話に基づく、悲しみと希望の物語だ。

内戦で親を失ったマメール少年は、兄や姉、生き残った子どもたちとともに、居場所を求めて1,600キロの道のりを歩き続ける。飢えと渇き、そして敵兵の襲撃により多くの仲間を失いながら、からくもケニアの難民キャンプに辿り着くマメールら少年少女たち。劣悪な環境の難民キャンプで十数年を過ごしたのち、彼らは遂に、難民の受け入れを始めたアメリカ移住のチャンスをつかむ。だが、夢見ていたアメリカでの生活と、実際に過ごす日々との落差は激しかった。貧しくも、仲間との絆を実感できていた難民キャンプ時代。一方、アメリカでの暮らしは、豊かだが何かを決定的に欠いていた。マメールらを世話する職業紹介所のキャリー(リース・ウィザースプーン)は、孤立する彼らを見かねて、ある行動を起こす。再び彼らが心のつながりを取り戻せるように。

この映画には、ロストボーイズたちの実情を訴える社会派ドラマの側面と、もっと普遍的な、人間の良心や勇気を信じる美しいヒューマンドラマの側面がある。主人公のマメールは医者を志し、忙しい仕事の合間を縫って、勉強を続けていた。その背景には、内戦で彼の身代わりとなり、敵兵に連れ去られたまま行方がわからない兄への思いがある。たとえ忌まわしい過去であっても、それが現在を形作り、やがて希望の未来を切り拓いていく。そんな作り手の信念がこめられた、マメールが最後に下すある決断は、いまだに戦いのやまない世界をぽっと明るく照らし出すだろう。いつまでも忘れることのできない、感涙のワンシーンだ。


『グッド・ライ~いちばん優しい嘘~』
DIRECTOR:フィリップ・ファラルドー
ACTORS:リース・ウィザースプーン、アーノルド・オーチェン、ゲール・ドゥエイニーほか
DATE:公開中
THEATERS:TOHOシネマズ シャンテほか全国ロードショー

門間雄介=文

この記事は 「Forbes JAPAN No.11 2015年6月号(2015/04/25発売)」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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