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2020.11.04 06:00

「本物のAI顧客サポート」を実現する米Forethoughtが18億円を調達

「フォアソート(Forethought)」CEOのディオン・ニコラス(Photo by Steve Jennings/Getty Images for TechCrunch)

AI(人工知能)の力で顧客サポートを変えるスタートアップ「フォアソート(Forethought)」CEOのディオン・ニコラスは、現代の人々の多くがチャットボットにうんざりしていることを分かっている。

かつて、人間以上の力を発揮すると信じられたボットによる顧客サポートの多くが、結局は役に立たない代物であることに人々は気づき始めている。そんな中、創業3年のスタートアップを率いるニコラスは、彼の会社が生み出したツールが、それらとは全く異なるもので、「本当に役に立つ」と話す。

サンフランシスコ本拠のフォアソートが開発したAgathaは、自然言語処理とAIを活用した、顧客サービスの作業効率を上げるプラットフォームだ。顧客からの問い合わせを自然言語処理で解析し、過去のチケットやGoogleドキュメントなど連携させたデータから、回答に役立つ情報をオペレーターに提案する。

フォアソートは10月28日、シリーズBラウンドで1700万ドル(約17億8000万円)を調達したとアナウンスした。出資に参加したのはNEAや、俳優のアシュトン・カッチャーが率いるSound Ventures、Neo、Geodesic Capital、Operator Collectiveなどのベンチャーキャピタルだ。さらに、個人投資家としてクアルトリクスCEOのライアン・スミスや、音楽プロデューサーのショーン・コムズ、ラッパーのLL・クール・Jらも参加した。

ドロップボックスの元エンジニアのニコラスは、元リンクトインのSami Ghocheと共に2018年に同社を立ち上げた。彼らはその翌年、フォーブスの30アンダー30にも選出されていた。フォアソートは昨年、テッククランチのDisrupt Battlefieldコンテストで優勝した後、NEAmの主導によるシリーズAで900万ドルを調達した。

同社の顧客の大半は、CartaやGusto、Masterclassなどのテック系企業だ。これらの企業はフォアソートのツールをセールスやカスタマーサービスのソフトウェアに接続し、過去の問題がどのように解決されたかを学習し、個々のチケットが何についてのものであるかを予測している。

「Agathaは、新しい問題がいつ発生し始めたかを把握し、人間のエージェントがどのように対応しているかを聞くことで、対応の仕方を学んでいく」とニコラスは説明した。

アシュトン・カッチャーは当初、Agathaについて懐疑的だったが、Sound Venturesの出資先の企業と協力してその実力を確かめたという。クアルトリクスのスミスは、「ディオンたちは、あらゆる組織をよりインテリジェントにしてくれる」と話した。

フォアソートのシリーズBの準備が整ったのは、ジョージ・フロイドが警官に殺害される事件が発生し、米国全土にブラック・ライブズ・マターの抗議デモが巻き起こる直前だったという。テック業界で数少ない黒人創業者であるニコラスは、その後の数週間でショーン・コムズやLL・クール・Jらの出資をとりつけた。

「米国で今起こっているムーブメントを受けて、自分に出来ることをやろうと考えた。自分なりのやり方で新しい波を起こし、サクセスのイメージを変えやろうと思った」とニコラスは話した。

編集=上田裕資

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