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2019.12.29 08:30

中国を代表するダウンメーカー「ボシデン」の世界制覇の野望

ボシデン創業者 Gao Dekang(高徳康)/ Getty Images

世界最大のダウンジャケットの製造元に数えられる中国の「Bosideng」(波司登、ボシデン)の業績は、2017年上期には非常に厳しい状況だった。売上や利益は減少し、在庫の山が積み上がる中で、香港市場に上場する同社の株価は8年で最低に落ち込んだ。

しかし、同年10月にスーパーモデルのケンダル・ジェンナーが、同社のダウンを着てミラノのファッション・ウィークに登場すると状況は一変した。Bosidengはカナダグースやモンクレールと並ぶ注目を浴び、株価は一挙に3倍に上昇した。

上海のBosidengの旗艦店には、昨年の秋、長い行列が出来た。顧客らはティム・コッペンズやアントナン・トロンらがデザインした限定モデルに群がった。2019年3月までの1年間のBosidengの売上は、前年比17%増の100億元(約1640億円)となり、純利益は59%増の9億8100万元に達した。

フォーブスが2019年11月に発表した中国の富豪ランキングで、現在67歳のBosideng創業者で会長のGao Dekang(高徳康)の保有資産は43億5000万ドルとされ、前年の14億ドルから数倍に伸びた。

父から縫製技術を学んだ彼が最初のアパレル事業を立ち上げたのは、1975年にさかのぼる。その後、1991年からグループ化を進め、1994年には米国のボストンを連想させる「ボシデン」というブランド名に改称した。

「外国のブランドのように聞こえる名前にしたかった」とGaoは話した。その後、2007年に香港市場に上場したBosidengは、2010年までに取り扱い店舗を1万店にまで拡大したが、いくつかの困難に直面した。

2013年に93億元を記録した売上は、その3年後には57億元に縮小し、利益は74%も急落した。Gaoはその後、サプライチェーンから販売チャネルまでの全てを立て直した。業績回復のカギとなったのは、ターゲット層の見直しによるブランドの再生だったという。

「Bosidengのアイテムは、かつては高年齢層向けだった。しかし、今では若い世代向けのアピール力を高めている」

その後は、海外ブランドに対抗するために国際的なデザイナーを起用した。上海の旗艦店では現在、フランスの有名デザイナーのアイテムを主力として押し出している。販売チャネルとしては、デパートに代わってショッピングモールに注力している。

また、2018年からアリババと提携し、Eコマースを強化した。さらに、ミラノ・ファッションウィークの成功後はニューヨークでも同様の試みを開始した。昨年のニューヨーク・ファッションウィークでは、女優のアン・ハサウェイがBosidengのアイテムを着用し、中国のEコマースサイト「タオバオ」ではその模様がライブ中継された。

GaoによるとBosidengの製品は海外でも支持を獲得しつつあるという。「当社のプロダクトには西洋のブランドにはない独特の個性がある」と彼は話した。

Bosidengは2016年に、ディズニーとライセンス契約を結んでおり、アディダスやノースフェイス、トミーヒルフィガーらの企業向けのダウンジャケットの製造も行っている。

編集=上田裕資

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