経済・社会

2019.02.07 07:30

ベネズエラは「崩壊寸前」、なぜそこまで追い込まれたのか

patrice6000 / shutterstock

活気ある新興市場経済を崩壊の危機に追い込むのに必要なものは、汚職と革命、そしてインフレーションの3つだ。ベネズエラの国民は、これら全ての影響が時間をかけて国内に広がっていくさまを目の当たりにしてきた。

さらに国民は、カルロス・アンドレス・ペレスからウゴ・チャベス、そしてニコラス・マドゥロまで、何人もの「革命家」たちの数々の政策の失敗を目にしてきた。彼らはいずれも、天然資源も人的資源も豊富なこの国が崩壊寸前の状態に陥ったことに対する責任を負っている。

社会学者で歴史学者でもあるライナー・ツィテルマンによれば、失敗した政策ばかりが並ぶベネズエラの「プレイブック」が採用されたのは、1970年代後半だ。問題は国有化と労働市場に関する規制の波から始まったという。それは、「チャベスが政権の座に就き、事態を一層悪化させるよりずっと以前のことだ」。

労働市場の規制に大きな問題があったとするツィテルマンは、「賃金を除いた労働者1人当たりの人件費は、1972年には賃金5.35カ月分だった。それが1992年には同8.98カ月分にまで大幅に上昇した」と指摘する。

このプレイブックは、2度にわたって大統領となり(1969~74年、1994~99年)、価格統制や手厚い補助金の提供などを行ったラファエル・カルデラ・ロドリゲスと、その「奇妙な仲間たち」によって使われ続けた。彼らは原油価格を水より安くし、財政赤字をますます拡大させた。それだけではない。外国の製造業者に有利になる為替管理制度も導入した。

キューバのカストロ主義と、チェ・ゲバラやサルバドール・アジェンデの反米主義の一部を借りた現代版ボリバル主義(社会主義)は、ベネズエラ経済にさらなる問題を引き起こした。

2013年にチャベスが死去した後には、その後継者とされていたニコラス・マドゥロが新大統領に就任。酪農やコーヒー、肥料、靴などの生産、スーパーマーケットの事業などを相次ぎ国営化した。だが、多くはその後、「縮小または完全に停止」している。
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編集 = 木内涼子

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