テクノロジー

2017.08.07 09:00

中国ファーウェイが米国に本格進出 AT&Tと契約締結との報道

J. Lekavicius / Shutterstock.com

中国のファーウェイは米国のガジェットマニアの間では既に高い評価を獲得し、サムスンやアップルに対抗し得るメーカーと見なされている。しかし、ファーウェイはまだ、米国で一般的な知名度を獲得しているとは言い難い。

そんな状況に変化が訪れようとしている。ニュースメディア「The Information」は8月4日、ファーウェイが米国の通信キャリアAT&Tとの間の販売契約をほぼ固め、2018年初期に米国でスマートフォンの発売を開始すると伝えた。このニュースは同メディアのJuro Osawaが伝えた。

ほとんどの米国人はキャリアを通じてスマホを購入しており、海外メーカーが米国に参入する上でキャリアとの提携は欠かせない。ファーウェイは世界のスマホ市場でサムスンやアップルに次ぐポジションにあり、世界市場のシェアは約10%に達している。しかし、現状では売上のほとんどは中国と欧州だ。

ファーウェイがAT&Tと組むという噂は今年3月から浮上していたが、これが実現すればサムスン、アップルの二強体制を揺るがすことになる。ファーウェイのフラッグシップモデルである「Mate 9 Pro」や「P10」は中国製端末としては異例の高価格だが、非常に高い評価を得ており、アップルやサムスンの端末と比べればずっとリーズナブルな価格だ。

筆者個人としてもMate 9は2016年最高のアンドロイド端末だと考えており、ファーウェイが独自に開発したプロセッサ「Kirin」の性能はクアルコムのSnapdragonやサムスンのExynosを上回ると見ている。

The Informationの記事によると、AT&Tは過去数ヶ月にわたりファーウェイのデバイスやKirinチップの性能を同社のネットワーク上で検証作業にあたっていたという。今回の提携はファーウェイにとって最高のタイミングと呼べるかもしれない。なぜなら、ファーウェイは次期フラッグシップモデルのMate 10を次期iPhoneに匹敵し得るベゼルレス端末として打ち出そうとしているからだ。

米議会は「中国のスパイ行為」を危険視

ファーウェイのコンシューマー事業を統括するリチャード・ユー(Richard Yu)は、今年1月の米国の家電見本市CESで「アップルを抜いて世界第2位になる目標達成のために、米国市場の攻略は避けて通れない課題だ」と述べていた。

米国でファーウェイは2012年、議会からネットワーク機器に安全保障上のリスクがあると指摘され、大きくイメージダウンした経緯がある。当時、米国の下院情報特別委員会は報告書で「ファーウェイらの企業は中国の共産主義政府との結び付きに重大な懸念がある。中国はサイバースパイ行為を大々的に行っていることで知られている」と述べていた。

筆者はこの件についてファーウェイの広報担当にコメントを求めたが、現時点では回答は得られていない。

編集=上田裕資

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